🔄 「この葉っぱ、病気?」をスマホ1枚で解決──Gemini 3.1 Flashで病害虫をAI初期診断する
新規就農者向けAI特集|写真+状況メモをAIに渡して原因候補+初動対応を3分で取得する
「この葉っぱ、なんか変だな…」──畑で気になる症状を見つけたとき、あなたはどうしていますか?ベテラン農家なら一目で分かる。でも就農1〜2年目には、それが病気なのか、虫なのか、肥料不足なのか、正常な生理現象なのかすら判断がつかない。JA営農指導員に相談したくても「何て説明すればいいか分からない」──そんな経験はありませんか?
この記事では、スマホで撮った写真+状況メモをAIに渡して”原因候補+初動対応”を取得する方法を紹介します。使うのはGemini 3.1 Flashの画像認識機能(Agentic Vision)。AIが画像をズーム・分析して、候補を絞ってくれます。
確定診断は必ずJA営農指導員や専門家に確認してください。
AIは「候補」を出すだけです。農薬の選定・散布は絶対にAI単独で判断しないでください。
🎯 この記事で「できること」と「できないこと」
- 症状の写真から原因候補を3〜5個挙げてもらう
- 候補ごとに初動対応の方向性を取得
- JA営農指導員に相談するための「下調べメモ」を自動生成
- 写真の細部をAIが自動ズーム・分析(Agentic Vision)
- 確定診断(AIは専門家ではない)
- 農薬の処方(農薬取締法の遵守が必要)
- 圃場全体の状況把握(写真だけでは限界がある)
- 症状を見ても何か分からない
- JA営農指導員に「葉っぱが変です」としか言えない
- 対応が後手に回って被害拡大
- ネット検索で情報の海に溺れる
- 原因候補が3つに絞れている
- 「〇〇病の可能性が高いと思うのですが」と聞ける
- 初動対応の方向性が分かり、すぐ動ける
- JA相談用メモが自動生成される
→ 必要な時間:撮影30秒 → プロンプト入力2分 → AI出力30秒 → JA相談用メモ完成
📋 やることは3ステップだけ
30秒
2分
即
🌾 「ネットで調べるより、AIに写真を見せた方が早い。でも最終判断はJA指導員に」──これが正しい使い方です。
🔬 STEP 1|なぜ「Gemini 3.1 Flash」なのか?
| 特徴 | 従来の画像AI | Gemini 3.1 Flash (Agentic Vision) |
|---|---|---|
| 画像の見方 | 1回の「静的な一瞥」 | Think → Act → Observe のループで能動的に調査 |
| 細部の認識 | 全体をざっくり | 自動ズームで斑点・虫体・葉脈の異常を拡大確認 |
| カウント | 苦手 | 病斑の数・被害葉の枚数を番号振りで正確に計測 |
| コスト | GPT-5.4 等は高め | Flashモデルで高コスパ |
| 利用方法 | API or ChatGPT | Google AI Studio で無料で即試せる |
→ 人間が「ここをもっとよく見て」と言わなくても、AIが自分で拡大して調べてくれる
⚠️ 注意点
- 万能ではない:照明・角度・湿度による見え方の違いはAIでも誤認しやすい
- 農薬の具体的な処方はAIに任せない:法規制+作物・時期・地域で異なるため
- 通信環境が必要:圃場でモバイル回線が弱い場合は、写真を撮っておいて帰宅後に投げる
📸 STEP 2|写真の撮り方で精度が変わる
AIに”読みやすい”写真を渡すことで、診断精度が段違いに上がります。



📵 撮影のNG例
| NG | 理由 | 改善 |
|---|---|---|
| 逆光で影になっている | 色の判別ができない | 太陽を背にして撮る |
| ピンボケ | 斑点のディテールが消える | タップでフォーカスを合わせる |
| 指や手袋が写り込む | AIが指を認識してしまう | 指を患部の外に |
| 1枚だけ | 情報が足りない | 3枚セットで |
写真+状況メモでAIに初期診断を依頼する
以下のプロンプトをコピーして、{ } の部分を自分の状況に書き換えてください。
写真は3枚セットで添付するのがベストです。
以下の写真と状況情報をもとに、考えられる原因候補を分析してください。【状況情報】
・作物名:{例:ミニトマト(品種:千果)}
・栽培方法:{例:ハウス栽培、減農薬}
・発見日:{例:2026年3月10日}
・発見場所:{例:第2ハウス、南側の2畝目、5株に症状あり}
・いつから:{例:3日前に最初の1株で気づいた、急速に広がっている}
・症状の詳細:{例:下葉から黄色い斑点が出始め、裏側に白いカビのようなものが見える}
・最近の環境:{例:先週は雨が多く、ハウス内の湿度が高かった。換気は朝1回}
・最近の作業:{例:3日前に追肥(化成肥料8-8-8)、農薬散布なし}
・周辺の状況:{例:隣の畝のナスには症状なし}【ルール】
・推測で答えないでください
・読み取りにくい箇所はコード実行でズーム(拡大)して、再確認してから回答してください【出力してほしい内容】
1. 原因候補(可能性が高い順に3〜5つ)
– 候補名(病名 or 害虫名 or 生理障害名)
– 可能性の根拠(写真のどこ+状況情報のどこから判断したか)
– 典型的な進行パターン
2. 各候補の初動対応(JA営農指導員に確認する前にできること)
– 被害拡大を防ぐための応急処置
– 追加で確認すべきポイント(裏返す、土を掘る、等)
3. JA営農指導員への相談用メモ(そのまま見せられる形式)
– 症状の要約
– 候補一覧
– 質問すべきこと
4. 画像の細部分析(Agentic Vision機能を使う場合)
– 気になる箇所をズームして確認した結果
– 斑点の色・形・分布パターンの分析※農薬の具体的な商品名や散布量は指示しないでください。
農薬の使用は必ずJA営農指導員または農薬販売店の指導に従ってください。
[ここに写真3枚程度を添付]
使用例:ミニトマトの茎に褐色壊死+果実腐敗が見つかったケース
以下の写真と状況情報をもとに、考えられる原因候補を分析してください。【状況情報】
・作物名:ミニトマト(品種:千果)
・栽培方法:パイプハウス栽培、減農薬、新潟県
・発見日:2026年3月10日
・発見場所:第2ハウス、南側の2畝目、約5株に症状あり
・いつから:3日前に最初の1株で気づいた。その後じわじわ隣の株にも広がっている【ルール】
・推測で答えないでください
・読み取りにくい箇所はコード実行でズーム(拡大)して、再確認してから回答してください【出力してほしい内容】
1. 原因候補(可能性が高い順に3〜5つ)
2. 各候補の初動対応
3. JA営農指導員への相談用メモ
4. 画像の細部分析※農薬の具体的な商品名や散布量は指示しないでください。
[写真を添付]
AIの出力イメージ(Gemini 3.1 Flash)


🔬 分析の概要(入力例の場合)
画像に見られる「茎の褐色壊死(枝分かれ部を中心とした拡大)」と「果実の激しい腐敗」、そして「隣接株への急速な伝播」という特徴から、植物病理学的な観点で検討した結果です。
疫病(Phytophthora infestans)
🔴 病害
茎の枝分かれ部分での暗褐色〜黒色の病斑形成(茎疫病症状)、果実の急速な腐敗、および低温多湿条件下での隣接株への急速な伝播──疫病の典型的な臨床像と完全に一致します。特に3月の新潟の気候は、ハウス内が多湿になりやすく発生に適した環境です。
菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
🔴 病害
茎の腐敗症状は似ていますが、通常は茎の内部から侵入し、病斑部に白い綿状の菌糸や黒い菌核が見られることが特徴です。写真では病斑が外部から拡大しているように見えるため、疫病より優先度は下げました。
青枯病(Ralstonia solanacearum)
🟠 細菌性
萎凋が主症状ですが、初期には茎に褐変が見られることがあります。ただし、本症例のように果実が直接腐敗するケースは疫病に比べると一般的ではありません。
胞子の飛散源・土壌中の菌密度を下げる。疫病は残渣から再感染する
作業者を介した隣接株への二次感染を防ぐ
湿度を下げることで疫病菌の胞子形成・飛散を抑制
予防的防除で拡大を食い止める。具体的な薬剤選定はJA営農指導員に必ず相談
JA相談用メモ(そのまま見せられます)
【相談者】○○(氏名)
【作物】ミニトマト(千果)/ パイプハウス / 減農薬 / 新潟県【緊急度】高 ── 隣接株への拡大が早い【症状】
・第2ハウス南側2畝目、5株に症状あり(3日前から拡大中)
・茎の分枝部を中心とした暗褐色壊死(上下方向に拡大)
・果実の激しい腐敗(表面に褐色斑点、組織が柔らかく崩壊)
・広範囲の萎凋と葉の枯れ込み【相談事項】
トマト疫病が疑われる症状が5株で発生。
隣接株への拡大が早いため、緊急防除の可否と薬剤選定を相談したい。【状況データ】
・発生確認日:2026年3月10日
・発生場所:第2ハウス、南側2畝目
・防除状況:現在まで使用した殺菌剤の種類と散布履歴 → 要記入
・栽培環境:気温推移、散水方法、ハウスの換気状況 → 要記入
【AI初期分析の候補】
1. 疫病(最有力)── 茎疫病症状+果実腐敗+急速伝播
2. 菌核病 ── 茎の腐敗は類似するが外部からの拡大パターンが合わない
3. 青枯病 ── 萎凋主体で果実腐敗は非典型的
【質問したいこと】
1. 疫病の確定診断のためサンプル持参したい。受付可能日は?
2. 緊急防除として適用のある殺菌剤は何か?
3. 感染株の抜根・処分以外に今すぐできることは?
4. 隣の畝・隣のハウスへの伝播リスクと予防策は?



- 確定診断には病原菌の分離同定が必要:AIの判断は「初期仮説」です。速やかにJA等の専門機関へサンプルを持参して診断を依頼してください
- 写真の精度に依存:暗い写真やピンボケでは候補の精度が下がります
- 農薬は自己判断で使わない:AIが候補を出しても、農薬の選定・散布は地域の防除指針+専門家の指導のもとで
- 緊急性が高い場合は即行動:急速に広がっている場合は、AIに聞く前にまずJAに電話。AI分析は並行して活用
- 複合要因の可能性:病害+環境ストレスが同時に起きていることも多い。1つに絞りすぎない
📸
🖥️ STEP 5|Google AI Studio で試す手順
Googleアカウントがあれば、登録不要ですぐに始められます。
gemini-3.1-flash-preview に変更左上のモデル選択から
⚡ これがAgentic Visionを有効にするスイッチ
ドラッグ&ドロップでもOK
結果は30秒〜1分で出る
📱 代替ツール:スマホでもっと手軽に
カメラで撮影 → そのままプロンプト送信。畑で即確認したい人向け
写真添付+プロンプト。普段ChatGPTを使っている人向け
写真添付+プロンプト。詳しい説明が欲しい人向け
→ どのツールでもプロンプトは同じものが使えます。Agentic Vision(自動ズーム)が使えるのはGemini 3.1 Flash+Code execution ON の組み合わせのみ。
⚠️ やりがちな失敗パターン
AIの診断を確定だと思い込む
最も危険。AIは「候補」を出すだけ。確定診断はJA営農指導員・普及指導員のみ。誤診で農薬を間違えると作物にも人にも被害。
写真1枚だけで投げる
情報不足で候補が広がりすぎる。3枚セット+状況メモで精度が段違いに上がる。
AIに「農薬を教えて」と聞く
AIは農薬取締法を踏まえた処方はできない。使用する農薬は必ず専門家に確認。
状況メモを省略する
「いつから」「環境」「前作」が分かるだけで候補が半分に絞れる。写真+状況メモはセット。
✅ まとめ
- スマホで写真3枚+状況メモをAIに渡すだけで、原因候補+初動対応が3分で出る
- Gemini 3.1 Flash の Agentic Vision(Think→Act→Observe)で、AIが自動で細部をズーム分析
- AIの診断は”下調べ”。確定診断はJA営農指導員に
- 農薬の選定・散布は絶対にAI単独で判断しない
- JA相談用メモが自動生成されるので、「何て説明すればいいか分からない」が解消
確定診断のためには、JA等の専門機関で病原菌の分離同定が必要です。
速やかにサンプルを持参して診断を依頼してください。AI出力はあくまで「相談の下準備」です。
✅ 今日から試せる!5分アクション
- 畑に出たら、気になる株の写真を 3枚(患部アップ・株全体・畝の俯瞰)撮る
- 「いつから」「どの畝の何株目」「最近の天気」をメモする(スマホのメモアプリでOK)
- Google AI Studio を開いて、プロンプト+写真を投げる
- 出てきた候補と相談用メモを JA営農指導員への相談時にそのまま見せる
→ 「この葉っぱ、何ですかね…」が「疫病の可能性が高いと思うのですが」に変わります。
🔍 あなたに合った「次の一歩」を見つけよう
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
「ここが分からなかった」「試してみたらこうだった」など、ご意見があればぜひお聞かせください。
農業AI通信は、読者の皆さんと一緒に育てていくメディアです。
⚠️ 免責事項:本記事のAI出力はすべて「初期仮説」であり、確定診断ではありません。農薬の使用は必ずJA営農指導員または農薬販売店の指導に従ってください。AIの判断を根拠に農薬を使用した結果生じた損害について、本メディアは責任を負いかねます。
📚 この特集の記事一覧
- 第1回:🌾 「AIが気になるけど何から?」に答える──新規就農×AI活用の入口ガイド
- 第2回:補助金・融資の事業計画をAIで”骨子→提出形”にする
- 第3回:届出・認定手続きをAIで整理する
- 第4回:繁忙期のパート募集から労災保険まで──”人を雇う書類”をAIで準備する
- 第5回:直売所POPをAIでサクッと制作
- 第6回:食べチョク?ポケマル?BASE?──”自分に合うEC”をAIに聞いてみた
- 第7回:「うちの経費率って高い?」──農水省統計×AIで”よそと比べる”最初の一歩
- 第8回:「買う・リース・中古」どれが得?──農機・ハウスの投資判断をAIで比較する
- 第9回:🛡️「どの保険に入ればいい?」を解消──農業共済・収入保険・民間保険をAIで比較整理する
- 第10回:🔄 LINE・メール・レビューの返信が追いつかない農家へ──問い合わせ対応をAIで半自動化する
- 第11回:🔄 「この葉っぱ、病気?」をスマホ1枚で解決──Gemini 3.1 Flashで病害虫をAI初期診断する(この記事)
💬読者の声をお聞かせください
この記事に関するご質問・ご感想をお待ちしています。

