【第1回】「無課金でここまで」~ 農家がAIを始めたきっかけと最初の活用術~

連載
🌿 樫村ふぁーむのAI活用術

Vol.1

農家の声
入門

「無課金でここまで」― 農家がAIを始めたきっかけと最初の活用術

〜 ChatGPTもGeminiも無料版。それでも農業の事務作業は劇的に変わった 〜

茨城県で年間100種以上の野菜と水稲を、栽培期間中 農薬・化学肥料不使用で栽培する樫村ふぁーむ

地元スーパーへの出荷を中心に、都内向けには旬の野菜をそのまま届ける「野菜ボックス」を展開し、地域の食を支える農園です。

この連載では、樫村ふぁーむがどのように無料のAIツールを農業経営に取り入れているのかを全3回にわたってお届けします。第1回は、AI活用を始めたきっかけと、すぐに使える実践的な活用術についてお聞きしました。

Vol.1
今回のテーマ

🎯 「無課金でここまで」― 無料のAIで農業の”作業以外”を効率化する方法

「面白そう」から始まったAI活用。ChatGPTとGeminiの無料版だけで、計算・コンテンツ作成まで。その実践術と、AIに対する独自の哲学に迫ります。

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樫村さん

樫村ふぁーむ

代表
樫村さん
所在地
茨城県
栽培品目
年間100種以上の野菜、水稲(栽培期間中 農薬・化学肥料不使用)
販売
地元スーパー・地域販売、都内向け「野菜ボックス」、産直EC(食べチョク)等
SNS
Instagram
Web
kashimura-farm.com

圃場の風景

📸 圃場の風景

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💡 「Clubhouseの雑談」が最初の一歩

AI活用の入り口は、意外にも仲間との何気ない会話。農作業中のコミュニケーションが、新しいツールとの出会いをもたらしました。

AIを使い始めたのは、いつ頃・どんなきっかけでしたか?

樫村さん

樫村

2024年頃ですね。農業系の仲間とClubhouseで話しながら農作業するのが日課だったんですが、その会話の中で「ChatGPTっていうのがあるらしいよ」と。

最初は仲間内で遊びながら試してみたのがきっかけです。「こんなこと聞いたらどう答えるかな?」みたいな感じで。

💭

ポイント

Clubhouseは当時、農業コミュニティでは「仲間内で農作業しながら話すコミュニケーションアプリ」として定着していたとのこと。情報交換の場が、AI活用の入口になった好例です。

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🔧 使用ツールは「ChatGPT」と「Gemini」― どちらも無料版

現在使っているAIツールと、課金状況を教えてください。

樫村さん

樫村

ChatGPTGeminiを両方使っています。どちらも無料版です。

月額3,000円くらいの課金プランもあるんですけど、今の自分の使い方だと正直そこまでの価値は感じないですね。スピードもそこまで重視していないし、文章のやり取りで上限に達することはほとんどない。画像生成をたくさんやると上限にいくこともありますけど、その程度です。

ツール 主な用途 利用
ChatGPT 計算・設計・売上管理・音声入力での作業指示 🆓 無料
Gemini 文章作成(畑だより・SNS投稿)・画像生成 🆓 無料

💡

ポイント

「まずは無料で始める」は、AI活用の最初の一歩として最もハードルが低い選択。樫村さんの事例は、無料版でも十分に実務で活用できることを証明しています。

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🏗️ 活用事例①:ハウス設計の計算 ― 頭の中のイメージをデータに

農業経営における「計算作業」は地味だけれど欠かせない仕事。ハウスの設計から売上管理まで、ChatGPTが頼れる相棒になりました。

最初に「これはAIに任せたい」と思った業務は何でしたか?

樫村さん

樫村

計算系の業務ですね。例えば、ハウスの幅に対してベッドをいくつ並べて、通路幅をどう取るか。最適な配置をChatGPTに出してもらって、図面レベルで算出してもらいました。

以前は頭の中でざっくり計算していたんですが、実際に作ってみたらズレていた、ということがあって。AIだとデータとして記録に残せるのがいいですね。

あと、音声入力が便利です。農作業しながら、頭のイメージを声で伝えて計算してもらう。手が汚れていてもスマホに話しかけるだけでいいので。

売上のパーセンテージ計算や利益率の算出も、AIに依頼して記録として統一化しています。バラバラだった管理をAIで揃えた形ですね。

Before
感覚と手計算
頭の中でざっくり計算 → ズレが発生
売上計算がバラバラ
After
AIでデータ化
ChatGPTで最適配置を算出
統一フォーマットで記録・管理
🎙️ 音声入力のポイント
農作業中は手が汚れていることも多い。スマホに話しかけるだけでAIに計算を依頼できる音声入力は、農家にとって非常に実用的な使い方です。
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野菜ボックス

📸 野菜BOX

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✍️ 活用事例②:コンテンツ作成 ― 30分の作業が10分に

Geminiを活用した文章作成で、SNS投稿や記事執筆の時間を大幅に短縮。既存コンテンツのトーンを学習させる使い方が特徴的です。

Geminiはどんな場面で使っていますか?

樫村さん

樫村

主に文章作成ですね。ホームページの「十王便り」という記事を定期的に書いているんですが、これをGeminiに手伝ってもらっています。

過去の記事をコピペで読み込ませて、「このテイストで新しい記事を書いて」とお願いすると、同じトーンで生成してくれる。文章作成はGeminiのほうが得意な印象があります。

Instagramの投稿文も、構成をAIに提案してもらうことで、30分かかっていた作業が10分で終わるようになりました。

他にも、ロゴデザインを読み込ませてLINEスタンプを約3日で作ったこともあります。

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時短効果

SNS投稿の文章作成

30分

10分

約66%短縮

LINEスタンプ制作

約3日で完成
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栽培の現場感

📸 栽培の現場感

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🧠 AIに対する哲学 ―「信頼するが、信用しない」

樫村さんがAI活用で最も大事にしている独自の哲学。農業の現場で培われた「情報との向き合い方」がベースにあります。

AI活用で大事にしていることはありますか?

樫村さん

樫村

「信頼するが、信用しない」。これが自分のスタンスです。

パートナーとして頼りにはするけど、最終判断は必ず自分でやる。AIって間違った情報を出すことも多いので、必ず自分でチェックします。

そもそもネット情報全般に対して懐疑的なんですよ。特に有機農業の分野は解釈の違いが大きいので、情報の真偽を見極めるのが本当に大事。一番信用できるのは、実際に使っている人の声や、現場の実践知だと思っています。

実態のある口コミは重視しますが、バズには流されない。AIはあくまで”サポーター”で、間違いがあったら自己責任。法律の改正や古い記事を引用してくることもあるので、そこは自分で判断するしかないですね。

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樫村さんのAI哲学
  • ★ AIはあくまで“サポーター”。間違いは自己責任
  • ★ 参考にはするが、信用しない。信頼して依頼するけど、信用しない
  • ★ 正解は実際に使っている人・現場の実践知にある
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📝 Vol.1 まとめ

今回のポイント

  • AI活用のきっかけはClubhouseの農業仲間との雑談
  • 2024年頃にChatGPTとGeminiを利用開始
  • どちらも無料版で十分に実務活用できている
  • 計算・設計:ハウス内配置の最適化、売上管理の統一化。音声入力で作業しながら依頼
  • コンテンツ作成:「十王便り」記事生成、SNS投稿を30分→10分に短縮、LINEスタンプも3日で完成
  • AI哲学は「信頼するが、信用しない」。最終判断は必ず自分で
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📺 次回予告
Vol.2

「人を育てる」× AI ― 自己評価シートと問い合わせ対応の実践術

農家ならではの「人材育成 × AI」という珍しい切り口。ChatGPTで自己評価シートを作成し、クレーム対応や企画書作りまで。経営者視点でのAI活用術に迫ります。

次回 近日公開予定

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