果樹農家に導入が進むフィジカルAI ─ 追従・運搬ロボットKisui「Adam」の可能性
SusHi Tech Tokyo 2026現地レポート|”畑を走るフィジカルAI”
2026年、農家の手元には“答えてくれるAI”が当たり前のように届くようになりました。ではその次は、何が来るのか。そのヒントは、アジア最大級のスタートアップイベント「SusHi Tech Tokyo 2026」の会場にありました。
AIが画面を飛び出して、畑を走り、農家の後ろをついてくる時代 ── その入口に立っていたのが、Kisui/輝翠の自律走行AIロボット「Adam」です。価格は300万円(税抜)。決して安くはありません。それでも2025年4月の一般販売開始から半年で初回生産分が完売し、果樹農家・農業法人への導入が静かに広がっています。

SusHi Tech Tokyo 2026会場にて。Kisui/輝翠の自律走行AIロボット「Adam」。果樹園での運搬・追従を担うフィジカルAI。
本稿は、農業AI通信「フィジカルAI特集」(全8回)の番外編として、現地で見たAdamを“フィジカルAIの国産代表事例”として位置づけ直す速報レポートです。
本記事の内容は2026年4月時点の公開情報および現地ヒアリングに基づいています。価格・仕様・導入数などは変更される可能性があります。導入を検討される際は、メーカーや自治体の最新情報をご確認ください。
🗼 そもそもSusHi Tech Tokyoとは
SusHi Tech Tokyoは、東京都が主催するアジア最大級のスタートアップ・イノベーションカンファレンスです。「Sustainable High City Tech Tokyo」の略で、世界中のスタートアップ・投資家・行政・大企業が一堂に会し、気候変動・モビリティ・食農・ヘルスケアなど都市課題を技術でどう解くかを議論・展示する場です。
筆者が会場で印象的だったのは、「AI=ソフトウェア」だった2025年までと違い、2026年は”身体を持ったAI”の展示が一気に増えていたことです。配膳ロボット、清掃ロボット、警備ロボット、そして── 農業ロボット。
その中で、もっとも“地に足のついた”展示として目に留まったのが、Kisuiの「Adam」でした。
📚 過去の特集を振り返る ── 「フィジカルAI」とは何だったか
本題に入る前に、農業AI通信が3月に公開したフィジカルAI特集(全8回)の論点を、4行で振り返ります。
🌾 この特集で繰り返し書いた予言が、2026年4月のSusHi Tech会場で、すでに“商品”として並んでいた。それがAdamです。
🚜 Adamとは何か ── 果樹園を走る自律走行AIロボット

出典:プレスリリース(輝翠の自律走行AIロボット「Adam」、初回生産分を完売)
まずはAdamの基本スペックを確認します。
ポイントは、Adamは”自動収穫ロボット”ではないということ。果実を自動でもぐのではなく、重い収穫物・資材を運ぶ役割に徹しています。
🌾 派手な収穫自動化ではなく、まず“運搬”という重労働から肩代わりする。
この潔さこそが、Adamが現場で売れている理由かもしれません。
🎯 「AI搭載」の中身を分解する
「AI搭載」とPRに書かれていても、何がAIなのかは意外と語られません。Adamの場合、AI活用は3層に整理できます。
自律走行・追従
圃場移動/作業者追従/AtoB搬送をAIが担当。運搬車を操作し続けなくてよい──手が空けば、収穫や剪定など人間にしかできない作業に集中できます。
画像認識
道・障害物・果樹を判別。GPSが弱い果樹園でも動けるのがポイント。樹木・支柱・棚に囲まれた複雑環境を、カメラとAIで読み解きます。
データ収集
走行ログ/作業データ/環境データを蓄積。現場ごとに改善されるAIとして、使うほど畑に最適化されていく可能性があります。
🍎 なぜ”果樹農家”なのか ── AIにとって最難関だからこそ
特集Vol.6で論じた通り、農業はAIにとって最難関の現場です。
中でも果樹園は最難関の中の最難関。
- 樹木・支柱・果樹棚があり、視界が複雑
- GPS信号が安定しにくい
- 通路幅が一定ではない
- 凹凸・傾斜・ぬかるみが多い
- 高齢化が深刻で、繁忙期の人手が圧倒的に足りない
- 収穫物が重い(柿1かご約20kg、それを何往復も)
つまり「人間にとって辛く、AIにとっても難しい」現場です。
しかし裏を返せば、ここでAIが機能すれば、価値は最大化する。Vol.6で書いた「最難関だからこそ、ここで技術を確立した企業が最強になる」というモートの議論は、まさにAdamの戦略そのものです。
💰 導入が進む4つの理由
「300万円(税抜)」だけを見れば、確かに高い。しかし以下の4つの見方を重ねると、価値の輪郭が変わります。
運搬補助機械として
繁忙期の重労働を省力化。除草剤散布の作業時間が半分以下になった事例も。
アタッチメント拡張機
草刈り・農薬散布・肥料散布へ展開可能。1台で複数役をこなす。
動く農場センサー
走るだけで圃場データが蓄積。将来の農場DXの素地になる。
🌾 特集Vol.8で予言した「共同利用・シェアリングで中小農家にも手が届く未来」が、果樹分野ではすでに動き始めています。
📝 編集部の見立て ── 農業AIは”画面の中”から”圃場の中”へ
特集Vol.1で書いた「AIが畑に出てくる日」は、実はもう来ていました。
派手ではない。完全自動化でもない。
でも、農家の腰と腕の負担を、確実に分担してくれる。
筆者は、これこそが農業AIの次の主役だと考えています。
まとめ
- 2026年以降、農業AIは 「頭脳労働を支えるAI」と「身体労働を支えるAI」 の2方向に同時拡張する
- その身体労働側の国産代表事例として、Kisui「Adam」が果樹農家・農業法人に静かに広がっている(初回生産分完売・国内15台規模)
- Adamの本質は“自動収穫”ではなく”運搬・追従”。最難関の果樹園で、まず重労働から肩代わりするアプローチ
- 300万円(税抜)は安くないが、運搬機・拡張機・動くセンサー・シェアリング対象の4視点で見ると、価値の輪郭が変わる
- 農業AIの次の主役は、“画面の中”ではなく”圃場の中” ── そう確信させる現地レポートだった
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最後までお読みいただきありがとうございます。
農業AI通信では、農家さんの「困った」を解決するAI活用情報を発信しています。
※ 本記事の一部はAIを活用して執筆しています。記載内容は2026年4月時点の公開情報および現地ヒアリングに基づいており、最新仕様や価格は各メーカー公式サイトでご確認ください。

