🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全13回)
🌱 シーズン1(全6回・完結)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
- 【第3弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」実装編 ── 超アナログ夫婦が、 IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日
- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩
🍅 シーズン2(全7回)
素朴な原稿が、デザイナーの机に届くまで
── シーズン2 販売③応用編「一行を、パンフレットに仕立てる」
前回 Vol.8 では、5つのAIを渡り歩いた末に、ひろしま農園の手元へ一行が残った話を書いた。「おいしいトマトとは。探しつづけます。」── 混沌の中で立ち上がった、農園を名乗るための一行だ。けれど、一行はあくまで”芯”であって、それだけではお客様の手には届かない。芯を、人に手渡せる「かたち」にする作業が、まだ残っていた。
2026年5月、ひろしま農園が次にAIへ持ち込んだのは、パンフレット作りだった。しかも今回の主役は、Claudeでも最初の5つのAIでもない。Genspark という、また別のAIである。
そして今回いちばん伝えたいのは、こういうことだ。ひろしま農園が最初にGensparkへ渡したのは、誤字混じりの、ほんの数行の手書きメモだった── けれど、それでよかった。素朴な原稿のまま放り込んでも、AIは文脈を読み、整え、最後にはデザイナーへそのまま渡せる仕様書にまで仕立ててくれた。

シーズン2は、ひろしま農園が「あ、これなら自分たちにもできそう」と手応えを掴んだ話を、ひとつずつ拾っていく連載だ。Vol.7では銅賞POPが棚に並んだ「完全実装」、Vol.8では農園を名乗る一行が混沌から残った話を綴った。今回Vol.9は、その一行を起点に、紙面という”外に届くかたち”へ展開していく話である。「言葉ができた」から「人に手渡せるようになった」へ── この距離を、一段ずつ詰めていく。
📄 1. 一行は、まだ「紙の上」に立っていなかった
Vol.8で残った「おいしいトマトとは。探しつづけます。」は、たしかに芯になる一行だった。けれど、ひろしま農園にはもう一段、現実的な宿題があった。この一行を中心に据えた、農園紹介のパンフレットを作ることだ。ここで整理しておきたいのは、ひろしま農園が想定しているパンフレットは、実は2種類あるということだ。
- 贈答用(A4三つ折り)── 進物に添える、きちんとした一枚
- 農園概要用(A4二つ折り)── 農園そのものを紹介する、顔代わりの一枚
今回 Genspark で組み立てたのは、後者の農園概要用・A4二つ折りのほうである。Vol.8の一行が、いちばん最初に「紙のかたち」をもらう場面だ。
キャッチコピーは、それ単体では宙に浮いている。「どの紙の、どの位置に、どんな言葉と一緒に置くか」まで決まって、初めて人に届く道具になる。言葉づくりと、媒体づくりは、別の作業だと分けて考えると、AIへの頼み方も整理しやすい。
✍️ 2. 誤字混じりの、素朴な原稿のまま渡してみた
ここが、今回のVol.9でいちばん伝えたい場面だ。ひろしま農園が最初にGensparkへ渡したのは、整った企画書ではなかった。奥様が思いのまま打ち込んだ、ほんの数行のメモだった。原文に近いかたちで引くと、こうだ。
✏️ 最初に渡したメモ(原文ママ)
栽培しているのは 主人です・
誰よりも実直で頑張っていると思います。
不器用なので色々な壁に当たりますが、
あきらめい男です。
最後の一行に注目してほしい。「あきらめい男」── 本当は「あきらめない男」と書きたかった、明らかな打ち間違いだ。普通なら、こういう原稿は「ちゃんと直してから渡さなきゃ」と身構えてしまう。ところが Genspark は、この誤字を、こう受け止めた。
なお、最後の「あきらめい男」は、おそらく「あきらめない男」のことだと思うので、その前提で整えました。


叱るでも、止まるでもなく、文脈から正しい意味を読み解いて、そのまま先へ進めたのだ。ここに、Vol.8との見事な対比がある。Vol.8で奥様は「整理できておらず、二転三転して申し訳ない」と恐縮していた。けれど今回わかったのは、整理できていない素朴な原稿でも、AIは芯を汲み取って前に進めるということだ。
AIに原稿を渡すとき、「きれいに整えてから」と思う必要はない。誤字も、言い回しの乱れも、AIは文脈で受け止める。完璧な下書きを用意することより、頭の中にある”芯”を、たとえ崩れた形でもいったん全部出してしまうことのほうが、ずっと大事だ。
🎨 3. AIは、3つのトーンで返してきた
素朴なメモを受け取った Genspark は、いきなり1つの完成文を返したのではなかった。同じ内容を、3つの異なるトーンで並べてきた。Vol.7のPOP(3パターン)、Vol.8のキャッチコピー(10案)と、まったく同じ”型”がここでも顔を出している── AIは選択肢を並べる、人間は選ぶ。
🏆 おすすめ
栽培しているのは、主人です。
誰よりも実直に、まじめに、毎日トマトと向き合っています。
不器用な人なので、いろいろな壁にぶつかることもあります。
それでも、簡単にはあきらめません。
案2|物語性のある印象
少し感動的で、ストーリーで読ませるトーン
案3|すっきりした印象
短めで、パンフレット向けに整理されたトーン
「あきらめい男」という4文字のメモが、人柄の伝わる数行の文章へとていねいにほどかれている。しかも Genspark は「パンフレットなら、いちばん使いやすいのは案1です」と、理由(やわらかく親しみがあり、人柄が伝わる)まで添えて、自分のおすすめを示してきた。ここでも、AIが新しい人物像を発明したわけではない。奥様の中にあった「主人への眼差し」を、読みやすい文章の型に流し込んだだけだ。
AIに文章を頼むときは、「1案ちょうだい」ではなく「トーン違いで何案か」と頼むといい。やさしめ/物語調/すっきりめ── 並べて見比べると、「自分たちが本当に出したい声」がどれなのか、輪郭がはっきりする。
📐 4.「A4二つ折りで」の一言で、紙面が立ち上がった
文章の方向が決まると、ひろしま農園は次に、たった一言を加えた。
これだけで、Genspark は文章を紙面の構成へと組み直した。A4二つ折りは、開くと 表紙/中面左/中面右/裏表紙 の4面になる。AIは、それぞれの面に「何を、どれくらいの分量で置くか」まで割り付けてきた。
| 面 | 役割 | 置く言葉 |
|---|---|---|
| 表紙 | 世界観の提示 | 「おいしいトマトとは。探しつづけます。」+サブコピー |
| 中面左 | 生産者紹介 | 「まっすぐに、育てる人です。」+主人の人物本文 |
| 中面右 | 栽培への思い・商品紹介 | 「おいしさに、近道はない。」+こだわり本文 |
| 裏表紙 | 締め+情報 | 「畑から、食卓へ。」+農園名・連絡先・販売情報 |

注目したいのは、AIが文章だけでなく、「表紙は言葉を入れすぎず、写真を大きく」「人物紹介の面は本文を2段にせず、ゆったり組む」といったレイアウトの考え方まで添えてきたことだ。これまでなら業者やデザイナーとの何往復もの打ち合わせで詰めていた部分が、指示一行で叩き台になった。なお、ここで挙がった面ごとの言葉は、あくまでGensparkが出した”たたき台”であり、最終文言として確定したものではない。
紙面のかたち(A4二つ折り、三つ折り、チラシ…)をAIに伝えるだけで、文章は「読み物」から「割り付け済みの原稿」に変わる。媒体の形式を先に指定するのは、地味だが効く一手だ。
⬜ 5.「Appleのようにシンプルで、余白を大事に」
ここで、奥様がもう一言を足した。これがVol.9のもう一つの山場だ。
実はこの方向性、Vol.8のキャッチコピー作りのプロンプトにも、すでに「Appleのようにシンプル」と書き込まれていた。つまりこれは思いつきではなく、ひろしま農園が最初から一貫して持っていた美意識だ。Genspark の応答は的確だった。「このテイストでは、文章を詰め込むより、言葉を減らして写真と余白で語るほうが合います」と前置きし、本文をさらに削ぎ落としてきた。たとえば中面左の生産者紹介は、こうなった。
Apple寄りに削ぎ落とした版
まっすぐに、育てる。
実直に、毎日、畑と向き合っています。もっとおいしいトマトを届けたい。その思いで、ていねいに育てています。

案1ではまだ残っていた説明的な部分が、ぐっと短く、静かになっている。「言葉を足す」方向だけでなく、「言葉を引く」方向にもAIは付き合ってくれる── これは、書き手が一人で抱えていると、なかなかできない引き算だ。
AIは「もっと書いて」だけでなく「もっと削って」も得意だ。「Appleのように」「余白を大事に」のような”空気感”の指定でも、ちゃんと汲み取って引き算してくれる。盛るより削るほうが難しい文章こそ、AIに頼る価値がある。
📋 6. デザイナーに、そのまま渡せる「仕様書」まで
そして最後、Genspark は文章を超えて、デザイナーへ渡すための仕様書まで整えてきた。ひろしま農園が「Appleのようにシンプルで余白を大事に」と言っただけで、AIはそれをデザインの言葉に翻訳したのだ。抜粋すると、こうだ。
ベースは白。文字は黒またはチャコールグレー。アクセントにトマトの赤と葉の緑を少しだけ。
すっきりした明朝体、または上品なゴシック体。手書き風は使わない。
トマトをたくさん並べるより、印象の強い1枚を大きく。生産者の手元、畑に立つ姿、朝の光。各面1〜2枚程度。
見出しは短く力強く、本文は2〜4行ずつ。行間を広く、余白で呼吸できる紙面に。飾り罫は不要。

デザイナー向け仕様書イメージ
ここがVol.9のいちばん大きな発見だ。
Vol.7では「業者依頼の往復が要らなくなった」という変化が起きた。Vol.9で起きたのは、その先── デザイナーとの間に立つ”指示書”を、農家自身がAIと作れるようになったことだ。外注がゼロになるわけではない。最終的に紙面を美しく仕上げるのは、やはりプロのデザイナーの仕事だ。けれど、「何をどう作りたいか」を言葉にして渡す部分を、ひろしま農園は自分の手で握れるようになった。丸投げでも、全部自前でもない、第三の関わり方だ。
デザイナーや業者に頼むとき、いちばん時間がかかるのは「イメージのすり合わせ」だ。AIに配色・フォント・写真の方向性・文字組みを言語化してもらい、それを”たたき台の指示書”として持っていく。すると、プロとの打ち合わせが、ゼロからではなく「この方向で、ここを直したい」から始められる。
🌱 7.「素朴な原稿でいい」── 言語化の、その先へ
このパンフレット作りを通して、ひろしま農園からは、こんな言葉が出てきている。
パンフレットは、お客様に渡すために作る。けれど作る過程で、いちばん最初に整理されたのは、ひろしま農園自身の「自分たちは何屋なのか」という芯だった。誤字混じりのメモから始まったはずの作業が、気づけば「自分たちの農業を、自分たちで確認する」時間になっていた。パンフレットそのものは、いまも最終決定に向けて動いている途中だ。
AIは答えではなく、考えるパートナー。素朴な原稿でいい。誤字があってもいい。芯さえ渡せば、AIは整え、トーンを選ばせ、紙面に割り付け、削ぎ落とし、最後はデザイナーへの橋渡しまでしてくれる。「ちゃんとしてから出す」のではなく、「出しながら、ちゃんとしていく」── それが、ひろしま農園がVol.9で掴んだ手応えだ。
「うちにはパンフレットを作るような立派なものはない」と感じる農家ほど、まずは頭の中のメモを、誤字のままAIに渡してみるといい。整えるのはAIの仕事だ。あなたの仕事は、芯を出すことと、出てきた案から「これは自分たちの声だ」と選びとることだけでいい。
まとめ
- テーマ:Vol.8で残った一行を起点に、農園紹介パンフレットを仕立てる(販売③応用編)
- 主役AI:Genspark(パンフ展開の主担当)
- 作ったもの:農園概要用・A4二つ折りパンフの原稿・構成案(贈答用A4三つ折りも含め2種とも調整中)
- 最初に渡したもの:誤字混じりの、数行の手書きメモ(「あきらめい男」など)
- AIの仕事:①誤字を文脈で読み解く → ②トーン違い3案 → ③A4二つ折りへ割り付け → ④Apple寄りに削ぎ落とし → ⑤デザイナー仕様書を生成
- 人間の仕事:芯を渡し、案を選び、「Appleのようにシンプルで余白を大事に」という方向を示す
- 大きな発見:配色・フォント・写真・文字組みまでの”デザイナー指示書”のたたき台をAIと作れた
- 通底姿勢:AIは答えではなく、考えるパートナー。素朴な原稿でいい、整えるのはAIの仕事
⏱ 今日からできる5分アクション
頭の中のメモを、誤字のままAIに渡してみませんか? 「ちゃんと書かなきゃ」という最初の一歩のハードルが消えます。
- 作りたいものと一行を書く
(例:農園紹介パンフ/A4二つ折り+あなたの農園の一行) - 伝えたいことを誤字のまま出す
(誰が作るか/人柄・姿勢/栽培のこだわり) - 頼み方を4点で添える
(トーン違い3案/二つ折り割り付け/シンプル版/デザイナー仕様書)
出てきた案から「これは自分たちの声だ」と選びとり、最後はプロのデザイナーへ”指示書つき”で渡す── パンフレット作りの景色が、ここから変わります。
📂 ひろしま農園シリーズ(全13回・完結)
- Vol.1全国金賞トマト農家の、知られざる”アナログ経営”🍅 公開済み
- Vol.2デジタルに縁がなかった夫婦が、Apple WatchとAIで走り出した日🍅 公開済み
- Vol.3超アナログ夫婦が、IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日🍅 公開済み
- Vol.415.7℃、49% ── スプレッドシートに刻まれた最初の1行🍅 公開済み
- Vol.5「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、AIに聞いて自分で問題を解決した日🍅 公開済み
- Vol.6同じ数字が並ぶ違和感から始まった、”信頼できるデータづくり”への新たな一歩🍅 公開済み
- Vol.7販売①入門|銅賞の通知が届いた翌朝、ひろしま農園が挑戦したのは”直売所用POP制作”🍅 公開済み
- Vol.8販売②中級|5つのAIを渡り歩いた末、ひろしま農園に残った一行🍅 公開済み
- Vol.9
販売③応用|素朴な原稿が、デザイナーの机に届くまで
📍 今回 - Vol.10診断①入門|下葉が黄色い、これは何の不調? AIの4候補と、農家の現場感の答え合わせ🍅 公開済み
- Vol.11診断②中級|正解を1つに決めない! 同じ問いを3つのAIに投げて見えたもの🍅 公開済み
- Vol.12組織①入門|動画で”農業マニュアル”がつくれる! 農家の勘と経験を、どうやって引き継ぐか🍅 公開済み
- Vol.13組織②応用|”いつでも動ける”を、AIと準備しておく! 雇用契約書のひな型から、季節POPの引き出しまで🍅 公開済み
💬読者の声をお聞かせください
この記事に関するご質問・ご感想をお待ちしています。
※ この記事はAIツール(ChatGPT・Claude・Gemini・Genspark・Google AI Studio等)を活用して作成し、編集部が内容を確認・編集しています。パンフレットの文言・仕様はGensparkが出力したたたき台であり、ひろしま農園にて最終調整中のものです。
🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全13回)
🌱 シーズン1(全6回・完結)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
- 【第3弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」実装編 ── 超アナログ夫婦が、 IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日
- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩
🍅 シーズン2(全7回)

