🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全6回)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
- 【第3弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」実装編 ── 超アナログ夫婦が、 IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日
- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩 ← 今ここ
同じ数字が並ぶ違和感から始まった、”信頼できるデータづくり”への新たな一歩
── ひろしま農園 × 農業AI通信 「データの質を守る」
「記録されている」から「信じられる」へ── 連載6回の到達点。
温度データのスプレッドシートを眺めていて気づいた、ほんの小さな違和感。「同じ数字が長時間続いている」── ひろしま農園さんからの一言が、記録の”量”から記録の”質”へもう一段進化する起点になった。ソフトでは「同値連続検知ロジック」、ハードでは中継機の放熱対策。同じ問題を、両側から同時に守る構図が、無理なく自然に立ち上がった。今回は、デジタル化の3段階を踏破した節目を記録する。
第5弾で、ひろしま農園さんは自らAIに聞いてWi-Fiトラブルを解決した。「記録する仕組み」は動き、「止まったら自分で直せる」力も手に入れた。ここまでくれば一区切り── そう思っていた。
しかし、ひろしま農園さんからの報告は、さらにその先を見ていた。
「気になることがあるので報告させてください。温度データは記録されているのですが、時々数字の動きがないことが疑問です。」
スプレッドシートをじっと眺めていて気づく、ほんの小さな違和感。27.5℃、20℃── 午前10時51分から、翌朝6時6分まで、ぴったり同じ数字の羅列。
ただの数字の羅列ではなく、「この数字、本当に正しいのか?」という問いを自分で立てる。第6弾は、記録の”量”から記録の”質”へ、もう一段進化する話だ。
セクション① 「同じ数字が続いている」── 気づく人だけが気づく違和感
4月17日の朝、ひろしま農園さんからDiscordに丁寧な報告が届いた。疑問のある日時と温度を、一覧で整理して。
ひろしま農園さん発・Discord報告(4/17)
-
4/13約5時間
16:06 → 20:51
中央 23.1℃ 固定外気 21.6℃ 固定
-
4/15約20時間
11:36 → 翌 8:06
中央 19.1℃ 固定外気 16.8℃ 固定
-
4/16約19時間
10:51 → 翌 6:06
中央 27.5℃ 固定外気 20℃ 固定
15分おきに96行並ぶスプレッドシートの中から、ごく少数の”動かない時間帯”を目視で拾い上げている。これはただ記録しているだけでは気づかない。「このデータは信頼できるのか?」という視点で数字を見ていないと、絶対に拾えない違和感だ。
セクション② 仕組みの盲点 ── ハブミニが切れている間、APIは”過去の値”を返し続ける
ひろしま農園さんの疑問は、裏に重要な技術的事実が潜んでいた。
SwitchBotの温湿度計は、ハブミニ(SwitchBotのクラウド連携ハブ)を経由してクラウドに温度を送っている。ハブミニ自体は家のWi-Fiに接続し、その先はWi-Fi中継機やルーターを経由してインターネットにつながる構造だ。
- 🌡温湿度計Bluetooth計測
- →
- 📦ハブミニWi-Fi接続点
- →
- 🌐中継機/ルーター家庭Wi-Fi
- →
- ☁️SwitchBotクラウド最後の値を保持
- →
- 📊GAS / シート15分おき取得
ハブミニがWi-Fiから一時的に切れると、センサー自身は計測を続けていても、クラウドには新しい値が届かない。GASがAPIで「現在の温度」を取りに行くと、SwitchBotクラウドは「最後に届いた値」をそのまま返す仕様。
結果── ハブミニが19時間切れていれば、19時間ずっと同じ数字がスプレッドシートに書き込まれ続ける。しかもエラーではなく、正常な数字として。
今回の3つの事例はすべて、ハウス中央と外気温の両方が同時に固定値になっていた。これは偶然ではありえない。両方のセンサーに共通するのはハブミニだけだから、原因はハブミニか、その先のWi-Fi/クラウド経路で確定する。
セクション③ データを消すのは、もっと危険
報告の中で、ひろしま農園さんはもうひとつ大事な質問をくれた。
同じ数字の記録は、データとしてそのままでいいでしょうか?
率直に言って、この質問ができる時点でもう現場感覚はかなりのレベルだと思う。でも答えは── 削除しない方がいい。
理由は単純で、「削除」すると「欠損」と「機器停止」の区別がつかなくなるから。
❌ 削除した場合
ただ行が飛んでいるだけ。
何が起きていたか
わからない。
✅ 残してマーク
「機器が止まっていた
時間がここにある」
という痕跡が残る。
後で「この1週間で、システムは何時間まともに動いていたか?」を振り返るとき、生データに残っている”止まっていた痕跡”そのものが貴重な情報になる。
だから今回の対応は、「削除」ではなく「マークする」にした。
セクション④ スプレッドシートに”データ品質の番人”を仕込む
対策は、GASに「同値連続検知ロジック」を追加すること。3つのルールで動く。
同値連続検知 3ルール
- 01
連続同値カウント
直前の値と比較して、連続して同じ回数をカウント。ハウス中央・外気温それぞれ別々に数える
- 02
両センサー同時同値で停止判定
両方のセンサーが3回(=45分)同時に同値なら
stalled= TRUE(停止区間として自動マーク) - 03
停止区間ログを別シートに記録
停止が始まった時刻・終わった時刻・継続時間を別シートに自動記録。後から一覧で確認できる
ポイントは「両方のセンサーが同時に同値」という条件。片方だけなら、そのセンサー個別のBluetooth不調かもしれない。両方同時なら、共通経路=ハブミニ/Wi-Fi由来で確定する。原因の切り分けまでロジックに織り込んだ。
さらに、毎日届く日次メールレポートにも新しい項目を追加した。
■ データ品質(昨日)
有効記録:20/96件(停止区間:76件, 約1,140分 / 1回)
・10:51→06:06(1,140分, 中央27.5℃/外20℃固定)
■ 分析・アラート
⚠️ [通信] 昨日の79%が停止区間。
ハブミニのWi-Fi状態を確認してください。
「昨日の通信品質は、こうでした」がメールの中に毎朝書かれる。データそのものと一緒に、データの信頼性スコアも届く仕組みになった。
そしてもう一つ重要なのは、日平均・最高・最低・積算温度の計算から、停止区間は自動で除外されること。誤ったデータがGDD(有効積算温度)に混ざらないようにブロックをかけた。
セクション⑤ もう一方の守り ── ひろしま農園さんが実際に動いた
対策を実装して数時間後、ひろしま農園さんから続報が届いた。
天気に関係なく、中継機2はやはり熱を持つようです。対応として、蓋をしめず軽く開けた状態にしております。あとミニハブを地面ではなく、少しあげたところに移動してみました。
(これもGeminiさんに聞いてみました)
よくあることとも記されていました。安定記録を願ってまた様子を見守っていきます。
読み返して、二重の意味で驚いた。
ソフト側
編集部
同値連続検知ロジック
日次計算からの自動除外
通信品質メール通知
ハード側
ひろしま農園さん
中継機2の蓋を開けて放熱
ハブミニを地面から浮かせて通気確保
(Geminiに聞いて自ら実施)
ひとつは、こちらがソフト側で”検知する仕組み”を組んでいる間、ひろしま農園さんはハード側で”止まらない環境”を作りに行っていたこと。中継機2の蓋を開けて放熱を促し、ハブミニを地面から浮かせて通気を確保する── これは典型的な熱対策だが、こちらから指示したわけでもなく、自ら気づいて対策を実行していた。
もうひとつは、その判断もまたGeminiに聞いて導いていたこと。第5弾でWi-Fiトラブルを自ら解決した流れが、今回もそのまま続いている。AIに聞く → 自分で手を動かす、のサイクルが日常になりつつある。「よくあることとも記されていました」という一文に、現場で調べて納得して動ける人の落ち着きがある。
ソフトで検知し、ハードで止まらないようにする。同じ問題を、両側から同時に守る構図になった。第6弾の”データの質を守る”は、私側の改修だけで完結した話ではなかった。
セクション⑥ 「記録されている」から「信じられる」へ
第4弾で、初めてスプレッドシートに15.7℃、49%が刻まれた。第5弾で、AIに聞きながら自分でトラブルを直せるようになった。そして第6弾で、そのデータ自体が信じられるかどうかを自分たちで判定できる段階に入った。
しかも、こちらがソフト側で検知ロジックを整えている間に、ひろしま農園さんはハード側で放熱と設置高さの調整を自ら進めていた。片側からではなく、両側から同時に守る── そんな連携が、無理なく自然に起きている。
これは、農業のデジタル化にとって大きな節目だ。
-
第1段階記録する仕組みを作る第3〜4弾
-
第2段階止まっても自分で直せる第5弾
-
第3段階記録の信頼性を自分たちで守れる第6弾(今回)
「データドリブン」という言葉がある。でも、信じられないデータをもとに判断するのは、勘で判断するより危険だ。ひろしま農園さんが「数字の動きがないことが疑問です」と一言発したことは、この連載の中でも特別な重みを持つ出来事だと思う。
現場の勘が、デジタルの監視役になった瞬間だった。
まとめ
- テーマ:記録したデータの信頼性をどう守るか(データ品質管理)
- ひろしま農園さんが見つけたこと:温度が長時間同じ数字で固定される区間がある(4/13・4/15・4/16)
- 原因:ハブミニがWi-Fiから一時的に切断 → SwitchBot APIが「最後の値」を返し続けていた
- 対応:GASに「同値連続検知」を追加 → 自動で
stalledマーク、日次計算から除外、メールで通信品質を毎朝通知 - データの扱い:削除しない。「止まっていた痕跡」そのものが重要な情報として残る
- ひろしま農園さんの物理対策:中継機2の蓋を開けて放熱/ハブミニを地面から浮かせて通気確保(Geminiに聞いて自ら実施)
- 節目:「記録されている」から「信じられる」へ ── ソフトとハード、両側から守る構図に到達
⏱ 5分で試せるアクション
今日のチャレンジ:自分の記録データを”疑いの目”で眺めてみよう。
作業日誌でも、出荷記録でも、スプレッドシートでも何でもいい。いつも通りに記録を見るのではなく、一度こう問いかけてみる。
- 同じ数字が不自然に続いている日はないか?
- 記録が飛んでいる時間帯はないか?
- 「なんとなく違和感」を感じる行はどこか?
違和感を見つけたら、それをメモしておくだけでいい。原因を調べるのは後でいい。大事なのは「データは疑って見る」という視点を一度でも持つこと。これが、“信じられる記録”を作る第一歩になる。
🎬 シリーズを振り返って ── 3月19日の応募文から、ここまで
3月19日に届いた1通の応募文から始まった、ひろしま農園さんの物語。全6回を通じて起きたことを、振り返ってみたい。
全国金賞の腕を持ちながら「経営は昭和のまま」だった夫婦の覚悟から、物語は始まった。
泣きながらApple WatchとAIに向き合い、3つのAIに機材を聞いた試行錯誤。
IoTセンサーのセットアップを完了させ、GASスクリプトを構築した。
「15.7℃、49%」── 積算温度の自動計算が動き始めた朝。
IoT導入後のトラブルを、自らAIに聞いて解決した自走への一歩。
ソフトの検知ロジックとハードの放熱対策が、無理なく同時に立ち上がった連載の到達点。
「エクセルすら使えない私たちだからこそ、AIの力を借りて劇的に変われるのではないか」
応募文に書かれていた仮説は、デジタル化の3段階をすべて踏破したという形で、ここに証明されつつある。
温度データは今日も15分おきに記録されている。そして今日からは、そのデータが信じられるかどうかも、毎朝のメールに書かれている。
「来週○ケース出せます」── その日は、確実に近づいている。
連載は今回で一区切りとなる。
でも、ひろしま農園さんの物語は終わらない。
ここまでで動き出したのは「日次の可視化」と「自分で守れるデータ」だった。次に控えているのは──
-
2026年5月〜週次まとめレポート
日次の変動を俯瞰で把握する仕組み -
2026年5月〜積算温度の推移グラフ
開花日からの累積を時系列で追える可視化 -
2026年9月〜新シーズンからの本格運用
来期の植え付けを起点に、収穫予測の精度を検証する半年 -
2026年11月〜暖房開始からの分析強化
外気温とハウス内温度差が最も大きくなる時期。本領発揮はここから
主人は特に、本当に助かるんよなーと毎日チェックしています
毎日チェックしている── アナログ経営からの最大の変化が、この一文に詰まっている。データを見て判断する習慣が、もう日常になりつつある。連載は終わっても、伴走は続く。次は、グラフの中で語られる物語になる。
📂 ひろしま農園シリーズ(全6回・完結)
- Vol.1全国金賞トマト農家の、知られざる”アナログ経営”🍅 公開済み
- Vol.2デジタルに縁がなかった夫婦が、Apple WatchとAIで走り出した日🍅 公開済み
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- Vol.6同じ数字が並ぶ違和感から始まった、”信頼できるデータづくり”への新たな一歩🏁 完結
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※ この記事はAIツール(ChatGPT・Claude等)を活用して作成し、編集部が内容を確認・編集しています。正確性には十分配慮していますが、最新情報は公式サイト等でご確認ください。
🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全6回)
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