🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全13回)
🌱 シーズン1(全6回・完結)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
- 【第3弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」実装編 ── 超アナログ夫婦が、 IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日
- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩
🍅 シーズン2(全7回)
直販は、どのECサービスで始める?
トマト農家の条件を聞き取り、支援側がAIで4サービスを比較
── シーズン3 農家のEC編|AIと進める農園の注文窓口づくり
前回お届けした「ひろしま農園シリーズ」のシーズン2では、大分県宇佐市のひろしま農園が、POP・商品コピー・葉の写真診断・作業マニュアルをAIと形にしていく13回をお届けしました。Vol.13で一度連載を締めくくりましたが、農園にはもうひとつ、先送りにしてきたテーマが残っていました。
それは、自分たちで注文を受ける窓口をつくることです。
そこで今回のシーズン3は、その直販ECの立ち上げを4回にわたって記録します。
ここで先にお伝えしておくことが2つあります。
ひとつは、この立ち上げは、農業AI通信を運営する株式会社農情人が、ひろしま農園から依頼を受けて有償で支援しているものだということです。ECサービスの比較も、AIを使った整理も、実際に手を動かしたのは支援側である農情人で、農園は条件を出し、最後に決める側です。記事化についてはご了承をいただいたうえで、うまくいかなかった部分も含めて記録しています。
もうひとつは、ページを公開して注文を受け付けられる状態になるのは2027年2月中旬の予定で、現時点ではまだ購入いただけないということです。
🎯 この記事でわかること
・ECサービスを比べる前に、農園側から引き出しておく5つの条件
・BASE・STORES・カラーミーショップ・Shopifyを比べる5つの軸
・「固定費0円」の実質手数料と、月いくら売れたらプランを変えるかの分岐点
・あとから効いてくる「戻せない選択」の見分け方
・自分で比べるときも、誰かに頼むときも使える比較のプロンプト
🍅 1.「やる」は決まっていた。決まっていなかったのは、その先だった
ひろしま農園より、直販への本格的な意気込みを伝えていただいたのは、2026年5月のことでした。
ご連絡には「現状はふるさと納税のみとなっているが、来年から直販取り組む予定です」とあり、あわせて「来年2027年3月中旬から5月中旬まで農家直送準備します」と、連絡がありました。

背景には、かつて、アナログで直販を手掛けた経験があります。
そこで、長くひろしま農園のトマトを購入してきたお客様へははがきで直販のスタートする計画が、補助金を使ったパンフレット制作と並行して動き始めていました。やるかどうかは、とうに決まっていた。決まっていなかったのは、そこから先です。
「やる」と決めることと、「何から手をつけるか」が分かることのあいだには、思っているより深い溝があります。
この溝を埋める作業を引き受けたのが、支援側である農業AI通信を運営する「農情人」でした。
🗒 2. 比較の前にやったのは、農園への聞き取りだった
比較サイトを開く前に、まず農園から条件を引き出しました。
条件が決まっていない状態でサービスを並べても、「なんとなく良さそうな方」しか選べないからです。ひろしま農園から聞き取った前提は、次の5つでした。
一つ、最初に並べる商品は1kgと2kgの2点だけであること。1kgは3袋、2kgは6袋に分かれ、1袋あたり4〜7玉が目安です
(その後、まとめ買い用に2kgを2箱にした4kgセットを加えて、3点になりました。詳しくは次回Vol.15で)。
二つ、注文を受ける日と、発送する日がずれること。収穫前に予約を受け、獲れてから送ります。2027年は2月中旬に受注を始め、発送は3月下旬(21日以降)からを前提にしています。
三つ、販売するのは、年に約2か月だけこと。トマトを出荷できるのは春の約2か月で、残りの10か月ほどは注文を受けない期間になります。
四つ、農園側が日常的に操作できること。商品の入れ替えも在庫の追加も、最終的には農園の手に渡ります。
五つ、配送条件がやや特殊であること。常温を基本にしつつ、気温によってはクール便へ切り替える可能性があり、日付指定はできません。
「少量から始めたい」ではなく「商品2点・1kgと2kg・春の2か月だけ」。「送料が心配」ではなく「常温中心・地域差あり・日付指定なし」。ここを曖昧にしたままAIに渡すと、返ってくるのも曖昧な比較になります。単位と期間が入った瞬間に、比較の答えは具体的になります。ご自身で比べる場合も、誰かに頼む場合も、最初に埋めるのはこの5行です。
⚖️ 3. 4つのサービスを、農家の言葉に置き換えた5つの軸で比べる
条件が固まったところで、BASE・STORES・カラーミーショップ・Shopifyの4つを並べました。
下調べと整理にはAIを使い、農園の条件に当てはめる判断は農情人が行っています。意識したのは、機能の多さで順位をつけないことです。多機能なサービスほど、使わない機能の分まで月額を払うことになります。
| 比較軸 | 農園の言葉に置き換えた問い |
|---|---|
| 初期費用・固定費 | 売上がゼロの月にも、いくら出ていくか |
| 注文1件あたりの費用 | 決済手数料・サービス利用料・注文ごとの固定額を合計するといくらか |
| 日常の操作 | 商品の変更・在庫追加・注文確認を、農園の担当者が続けられるか |
| 農産物への対応 | 先行受注・季節販売・温度帯・送料・ギフトに対応できるか |
| 将来の展開 | 顧客への再案内・分析・販路拡大を、どこまで必要とするか |
4社の性格は、おおまかにはこう分かれます。BASEは固定費を抑えて小さく始め、必要な機能を拡張機能(BASE Apps)で足していく形。
STORESも少額から始められ、実店舗との連携に強みがあります。
カラーミーショップは食品販売まわりの設定が細かく、Shopifyは拡張性が高い代わりに、使いこなすほど設定と運用の手間が増えます。
この5軸には、あとから効いてくる項目がひとつ抜けていました。
注文を受けてから発送するまでに、何日の猶予があるかです。
ECの決済には、注文から一定日数で自動的にキャンセルされる仕組みがあり、その日数は決済方法によって違います。「先に注文を受けて、獲れてから送る」商売では、この日数が収穫の遅れとそのままぶつかります。私たちがこの制約を具体的に調べたのは比較のあと、設定を検討する段階でした。生鮮品を扱う方は、比較の時点でこの軸を立ててください。

💴 4.「固定費0円」は、無料という意味ではない
費用は、「注文1件あたり」と「1年間の維持費」を必ず分けて計算しました。
注文1件の費用は「決済対象の総額 × 料率 + 注文ごとの固定額」で出ます。ここに月額・振込手数料・拡張機能の利用料を別に足したものが、1年間の維持費です。
ひろしま農園は1kgを4,380円、2kgを7,980円あたりで検討していました。
ただし、送料を価格に含めるのか、別に加算するのかは、この比較の時点ではまだ決まっていませんでした(最終的には送料込みの価格に決めています。経緯は次回Vol.15で)。
ここでは、いったん5,000円前後の注文が入ったものとして試算します。
BASEには2つのプランがあり、機能の差はありません。違うのは手数料だけです。
| スタンダード | グロース | |
|---|---|---|
| 月額 | 0円 | 19,980円(月払い) |
| 決済手数料 | 3.6%+40円 | 2.9% |
| サービス利用料 | 3% | 0円 |
| 注文1件あたり(実質) | 6.6%+40円 | 2.9% |
| 5,000円の注文1件で | 370円 | 145円 |
つまり、「固定費0円」は無料という意味ではなく、月額を払わないかわりに手数料を多めに払っているということです。
1件あたりの差は225円。月額19,980円を取り返すには、ひと月に89件、金額にして約45万円を売る必要がある計算になります。
ひろしま農園の販売期は3月下旬から5月中旬の、およそ2か月。
まずはスタンダードのまま始め、販売期の月商が45万円を超えた月が続いたら切り替えを考える、という判定の形にしました。
金額そのものではなく、判定式と判定日を決めておくやり方です。
BASEの公式案内によると、上位プランへの変更は即時に反映される一方、下位プランへ戻すのは契約期間が終わってからとされています。年払いを選ぶと、1年間は元に戻せないということです。売れるのは2か月、払うのは12か月。収穫期だけ売る商売では、固定費のプランは季節の外側で必ず損を出します。プラン選びは「安いほうを選ぶ問題」ではなく、「戻れる形で始める問題」として考えてください。
この記事の数字は、2026年9月時点での情報をもとに比較したものです。
料率やプランは改定されます。
AIに比較させるときは「料金・機能には公式ページのURLと確認日を付ける。確認できない項目は”未確認”と書く」と指示し、最後は公式サイトを自分の目で見てください。
🧭 5. 正直に書くと、これは「選び直し」で、提案したのも私たちでした
ここは隠さずに書きます。
ひろしま農園のBASEのお店は、この比較よりも前に開設が済んでいました。
私がBASEの費用や作りやすさを前提に「まずBASEで自社直販のサイトだけ先に立ち上げて、そのURLからQRコードを作ってパンフレットに載せませんか?」と提案した背景があります。
ですので、BASEは農園が自分で探して選んだサービスではありません。
支援側の提案に農園が合意し、その後に条件を言語化して比べ直した、というのが実際の流れです。
今回の比較は、まっさらな状態からの選定ではなく「選び直し」にあたります。
それでも比べる価値はありました。売れない月の固定費がかからないこと、商品2点から始められること、足りない機能を後から足せること、農園側が自分で操作を覚えられること。
この4つが、季節販売で2か月だけ動かす農園の条件と噛み合っていました。STORESも最後まで有力な候補として残り、最終的にBASEで進めることを決めたのは農園です。
URLを先に確定させたことで、パンフレットの制作は止まらずに済みました。一方で、印刷物にQRを載せた時点で、そのURLは物理的に動かせなくなります。だから私たちは、刷る前に、作成済みのQRコードが本当に現在のショップURLへ飛ぶかを実機で照合しました。ずれていれば、刷り直しかQRの作り直しが発生し、気づくのが遅いほど高くつきます。先に器を用意するなら、そのサービスをやめたときに何が無駄になるかを、一度だけ確かめておいてください。
この段階では、パンフレットにInstagram・BASE・ふるさと納税のQRコードを3つ並べる案も出ていました。1面に複数のQRがあると読み手が迷うため、1つの面には1つのQRに整理しています。いまは、注文用のQR(BASEへ)と問い合わせ用のQR(メールへ)を分ける形で、袋に貼るシールの設計を進めているところです。
ご自身で比べるときはそのまま、支援者に頼むときはそのまま渡す条件メモとしても使えます。
農園の直販ECを検討しています。以下の条件をもとに、BASE、STORES、 カラーミーショップ、Shopify を比較してください。 比較軸は「固定費」「注文1件あたりの費用」「日常の操作」 「農産物の配送・先行受注」「将来の拡張」の5つです。 加えて「注文から発送までに何日の猶予があるか(決済ごとの 自動キャンセル期限)」も調べてください。収穫時期が動くためです。 ・プラン名と比較条件を明示してください ・料金と機能には、公式情報のURLと確認日を付けてください ・確認できない項目は「未確認」と書いてください ・各サービスが合う条件と、私の農園で追加確認すべき点を示してください ・あとから変更できない項目(契約期間、URL、登録区分)があれば 最後にまとめてください 【農園の条件】 商品数: 販売時期(受付/発送): 想定価格: 配送方法・温度帯: 操作する人:
まとめ
- 順番がすべて:サービスを比べる前に、商品数・販売時期・固定費・操作する人・配送条件の5つを農園から引き出す
- 条件は単位まで降ろす:「少量から」ではなく「商品2点・春の2か月だけ」。単位と期間が入るとAIの答えが具体的になる
- 「固定費0円」は無料ではない:月額を払わないかわりに、1件あたりの手数料が上がる。売れる月と売れない月の両方で計算する
- 戻せるかどうかで選ぶ:契約期間、印刷物に載せたURL、登録の区分。あとから変えると費用がかかるものを先に潰す
- 役割は分けられる:比較と整理は支援側が引き受けられる。ただし決めるのは農園。今回のBASEも、提案は支援側、決定は農園だった
⏱ 今日からできる5分アクション
ひろしま農園も、最初に決まっていたのは「直販をやる」ことと、売る時期だけでした。あなたも、比較サイトを開く前に、まず自分の農園の条件を数行だけ書き出してみませんか?
- 最初にネットで売る商品を、2つだけ挙げてみる
(例:1kg袋詰め、2kg箱入り。3つ以上あるなら、いちばん出る2つに絞る) - その商品を「いつ受け付けて、いつ発送するか」を月で書く
(例:2月中旬から受付、3月下旬から発送。受付と発送がずれることが多い) - 注文を受けてから発送までに、何日かかりそうかを書き足す
(例:収穫を待つので最長30日。ここが決済の期限とぶつかります) - 書き出したメモを、AIに貼るか、相談できる相手にそのまま渡す
(例:「この条件だと、どのECサービスが合いますか。料金は公式URLと確認日つきで」)
📂 ひろしま農園シリーズ シーズン3「農家のEC編」(全4回)
- Vol.14
農家のEC①入門|直販は、どのECサービスで始める? トマト農家の条件を聞き取り、支援側がAIで4サービスを比較
📍 今回 - Vol.15
農家のEC②実践|オープンは半年後。それでも、もう作り始めている ── 収穫に左右されることを、最後まで決めないための準備
🗓 9月30日公開予定 - Vol.16
農家のEC③実践|農園のこだわりを、買う人の言葉へ。商品ページをAIと作り直す
🗓 10月7日公開予定 - Vol.17
農家のEC④応用|収穫日は選べない、期限は選べる ── 日数で動くシステムに、生鮮品を載せる
🗓 10月14日公開予定
シーズン1「栽培センサー編」とシーズン2「販売/診断/組織編」の全13回は、Vol.13の記事末尾にある連載ナビからご覧いただけます。商品コピーやPOPをAIと作った回はシーズン2の販売編にまとまっています。
💬読者の声をお聞かせください
この記事へのご感想や、「こんなAI活用を知りたい」というリクエストをお待ちしています。
※ この記事はAIツール(ChatGPT・Claude等)を活用して作成し、編集部が内容を確認・編集しています。本連載で紹介している直販ECの立ち上げは、農業AI通信を運営する株式会社農情人が、ひろしま農園から依頼を受けて支援しているものです。掲載内容は取材先の了承を得ています。料金・機能などの最新情報は、各サービスの公式サイト等でご確認ください。
🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全13回)
🌱 シーズン1(全6回・完結)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
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- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩
🍅 シーズン2(全7回)

