🍅 全国金賞トマト農家「ひろしま農園」シリーズ(全13回)
🌱 シーズン1(全6回・完結)
- 【第1弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」紹介編 ── 全国金賞トマト農家の、 知られざる"アナログ経営"
- 【第2弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」試行錯誤編 ── デジタルに縁がなかった夫婦が、 Apple WatchとAIで走り出した日
- 【第3弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」実装編 ── 超アナログ夫婦が、 IoTセンサーのセットアップをやり遂げた日
- 【第4弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」始動編──スプレッドシートに刻まれた最初のデータ
- 【第5弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」自走編──「Wi-Fiの仕組みも知らなかった」農家が、 AIに聞いて自分で問題を解決した日
- 【第6弾】大分県宇佐市「ひろしま農園」発見編──同じ数字が並ぶ違和感から始まった、"信頼できるデータづくり"への新たな一歩
🍅 シーズン2(全7回)
動画で”農業マニュアル”がつくれる!
農家の勘と経験を、どうやって引き継ぐか
── シーズン2 組織①入門編「写真の次は、動画。AIに”言葉にしてもらう”を技術継承へ」
診断の章では、「葉っぱの写真をAIに見せる」というサイクルを見てきた。スタッフが気づいた異変を写真に撮り、AIで言葉に置き換え、伝わる言葉で現場に返す。その延長線上に、今回のテーマがある。頭の中にある作業を、どうやって人に渡すか。
ひろしま農園が選んだのは、「作業の様子を動画で撮って、AIに文章化してもらう」という、驚くほど身軽な方法だった。所要は、動画5分とAIでの数分。それだけで、これまで言葉になっていなかった手順が、初めて“読める形”になった。写真の次は、動画。診断の章で芽生えた「AIに言葉にしてもらう」という発想が、今度は“作業の継承”へと広がっていく。
今回お伝えしたいのは「すごいマニュアルの作り方」ではない。頭の中にある手順を、AIに言葉化してもらって人に渡す── その身軽なサイクルそのものだ。AIは答えを出す装置ではなく、暗黙知を言葉に変える相棒。Vol.10/11から地続きの姿勢を、”組織・継承”の場面へ広げていく。
📹 1. なぜ「マニュアル」だったのか ──写真の次は、動画
ひろしま農園は、個人農家として独自路線を歩んで27年。作業の手順は、長いあいだ“頭の中”にあった。
もともとこの農園は、「わからないことは、なんでも農園主に聞いて」という運営だ。スタッフは作業中に判断に迷うと、その都度、離れた場所からでも農園主のところへ確認に行く。確実ではあるけれど、判断がひとりに集まる── いわゆる属人化した現場だった。
そこに小さな変化を起こしたのが、AIだ。あるとき、スタッフが自分の携帯でトマトの収穫の色を撮って確認したところ、その見立てが農園主の判断と一致していた、という報告が上がってきた。「写真で確かめる」ことに、ちゃんと意味が出てきた瞬間だ。
写真の次は、動画だった。「渡したい作業を、まず動画で撮る。文章にするのはAIに任せる」── この発想が、マニュアルづくりの出発点になる。
渡したい作業は、まず5分の動画で撮るだけ。文章にする工程は、AIに任せられる。
🎬 2. 動画5分を、AIがマニュアルにした
題材に選んだのは、トマトトーンの散布作業。トマトの花に薬剤を吹きかける── ベテランなら手が覚えているけれど、初めての人には説明が難しい作業だ。
その様子を5分の動画にして渡すと、Claudeが数分で、読めるマニュアルにまとめてくれた。
(参考までに、Geminiでは約1分で記録できたという例もあるが、今回採用したのはClaudeの出力だ)

5分の作業動画から、Claudeが数分で起こした「トマトトーン作業マニュアル」のイメージ
頼んだのは、たった一言。「初めての人が読んでも、安全に進められる手順書にして」。
それだけで、章立てまでAIが整えてくれた。
この作業動画を、初めての人が読んでも 安全に進められる手順書にしてください。 (安全上の注意も入れてください)
出来上がったマニュアルは、こんな構造になっていた。
- 1目的(何のための作業か)
- 2最初に必ず確認すること(投入量・希釈・加圧回数など)
- 3用意するもの(薬剤・道具・身につけるもの)
- 4作業全体の流れ と Step1〜4
- 5大切なルール
- 6作業前・作業中の注意/片付け
水と薬剤を混ぜて、薬液をつくる
できた薬液を、噴霧器のタンクに入れる
噴霧器の準備をして、まず地面で試し吹きする
トマトの花に、やさしく吹きかける

AIが整理したStep1〜4の作業の流れのイメージ
「初めての人が読んでも安全に進められる手順書にして」と一言添えるだけで、章立てまでAIが整えてくれる。
🛡️ 3. AIが入れてくれた「安全の思想」
このマニュアルでいちばん印象的だったのは、AIが“安全の思想”を、こちらが頼む前に言葉にしてくれたことだった。冒頭には、こうある。
わからないことがあれば、必ず農園の人に確認する。
わからないまま進めることが、最も危険。

「わからないまま進めない」── AIが冒頭に置いた安全の思想のイメージ
そして、トマトトーンの投入量・希釈方法・加圧回数といった数値は、あえて「農園の人に確認する」に委ねる設計になっていた。AIが勝手に数字を断定するのではなく、現場での確認をうながす。ここが、安心して人に渡せるマニュアルになった理由だ。
ほかにも、「いきなり花にかけず、まず地面で試し吹きをする」「同じ花に2回かけない」といった、事故やミスを防ぐルールが、きちんと言語化されていた。ベテランが無意識にやっている“危ないポイント”が、初めての人にも伝わる形になったのだ。
「安全上の注意も入れて」の一言で、暗黙知だった”危ないポイント”まで文章になる。
📚 専門用語の補足:トマトトーン・色つけ液・加圧回数(編集部のネット調査によるファクトベースの目安)
本文のとおり、これらの数値はAIに断定させず「農園の人に確認」に委ねるのが基本です。下記はあくまで読者の理解を助けるための一般的な目安で、実際は製品の登録ラベルと自園・指導機関の指示を必ず優先してください。なお、ひろしま農園では「色つけ液」は使用していません。下記の色つけ液の項目は、あくまで一般的な参考情報です。
- トマトトーン(着果促進剤):有効成分は4-CPA 0.15%の植物ホルモン剤。希釈は気温20℃以下で50倍/20℃以上で100倍が基本。1花房に1回・「花からしたたり落ちない程度」が目安で、同じ花房への二度がけは奇形果の原因になるため避ける。(日産化学・石原バイオサイエンスの製品情報より)
- 色つけ液(着色・熟期促進剤=エスレル10など):エテホンが水中でエチレンを発生させ着色・熟期を早める成長調整剤。トマトの果房散布で約300〜1000倍(製品・目的で幅)。高温時(30℃以上)の散布は避け、使用回数はラベル基準を厳守。(石原バイオサイエンス、JA・自治体の生産情報より)
- 加圧回数(蓄圧式噴霧器):「○回」と固定ではなく、安全弁が「シュー」と鳴る適正圧力までハンドルを上下させるのが正解(機種により目盛り「4」=0.4MPaが目安)。霧が弱くなったら再加圧、使用後は圧を抜く。(噴霧器メーカーの取扱説明書より)
⚠️ いずれも一般的な目安・メーカー公表値です。実際の数値は、使用する製品の登録ラベルと、自園・指導機関の指示を必ず確認してください。このマニュアルが数値を「農園の人に確認する」に委ねているのも、同じ理由からです。


希釈倍率などの数値は断定させず、AI(Google AI Studio)に質問して確認したイメージ(左:プロンプト/右:回答)

実際の希釈倍率をAIに計算させたイメージ(最終判断は農園の人に)
🌱 4. マニュアルは「作って終わり」じゃない
ただ、ひろしま農園はここで立ち止まらない。マニュアルについて、こう語っている。
マニュアルは、渡したら終わりではない。現場で実際に使い、直しながら根づかせて、はじめて意味を持つ──。地に足のついた運用観だ。そしてここでも、最終的に手順を判断し、伝えるのは人。AIは“頭の中を言葉にしてくれる相棒”であって、答えそのものではない。
AIは、答えをくれる装置ではなく、考えるパートナー。動画5分から起こしたマニュアルも、最後は人が現場で使い、直し、根づかせていく。Vol.12は、そこに着地する。
一度作って終わりにしない。現場で使いながら更新していく前提で持つ。
まとめ
- Before:作業手順は農園主の頭の中にあり、迷ったら聞きに行く属人化した運営
- きっかけ:渡したい作業(トマトトーン散布)の様子を、5分の動画で撮影
- After:Claudeが数分で、初めての人でも読める作業マニュアルに(Geminiは約1分という例も)
- AIの貢献:章立て・安全文言・「農園の人に確認する」ルールの言語化
- 残る人の役割:数値判断・現場での指導・更新
- 通底姿勢:作って終わりじゃない。浸透にこそ時間をかける。最後は人が決める
⏱ 今日からできる5分アクション
渡したい作業を5分撮って、AIに「初めての人向けの、安全な手順書にして」と頼んでみませんか? 暗黙知だった手順が、初めて”読める形”になります。
- 渡したい作業を、5分ほどの動画で撮る
(手元が映っていればOK。ナレーションは無くても大丈夫) - AIに「初めての人向けの、安全な手順書にして」と頼む
(「安全上の注意も入れて」と添えるとなお良い) - 数値・農園ごとのルールは「農園の人に確認」に委ねる一文を入れる
(AIに数字を断定させない)
出来上がった手順書は、一度で完成させようとしないのがコツ。現場で使いながら直していく前提で持っておくと、だんだん”うちのマニュアル”に育っていきます。最後に手順を判断し、伝えるのは、いつも人です。
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- Vol.12
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※ この記事はAIツール(Claude・Gemini・Google AI Studio等)を活用して作成し、編集部が内容を確認・編集しています。AIの出力(作業手順・農薬の希釈倍率・加圧回数等)は確定情報ではありません。農薬の使用量・希釈・散布方法等は、必ず製品の登録ラベルや、JA営農指導員・普及員など専門家にご確認ください。また、AIに個人情報・家族情報を入力する際は、学習オフ・履歴オフの設定をご確認ください。
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