中国製AI 「DeepSeek V4 Flash」、農家はどこまで使っていい?

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2026.7.31 公開/最終確認:2026.8.5(料金・政府注意喚起・為替をファクトチェック済み)

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中国製AI「DeepSeek V4 Flash」、農家はどこまで使っていい?

── 料金は他社の半分以下。でも、政府は省庁に注意喚起を出しています

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DeepSeek V4 Flash 0731(ディープシーク ブイフォー フラッシュ)は、2026年7月31日に中国のDeepSeek社が公開した低価格の生成AIです。同クラスの海外モデルより大幅に安く使えます。

「AIは便利そうだけど、月に何千円も払うほどじゃない」──そう思って様子を見ている農家さん、多いと思います。そこに出てきたのがDeepSeek V4 Flashです。出力の料金が、他社の低価格モデルの4分の1以下。数字だけ見れば、たしかに魅力的です。

ただ、この記事でお伝えしたいのは「安いから使いましょう」ではありません。日本政府(デジタル庁)は2025年2月、各省庁等に対しDeepSeek等の生成AIの業務利用について文書で注意喚起しています。機密情報は取り扱わないこと、利用する場合はNISC・デジタル庁に助言を求めることを徹底する内容です。

農家は省庁ではありません。でも、補助金の申請書や決算の数字を扱う場面はありますよね。だから必要なのは「使う/使わない」の二択ではなく、「どこまでなら使っていいか」の線引きです。この記事ではそこまでをお伝えします。

📖 この記事でわかること
  • DeepSeek V4 Flashは何がどれくらい安いのか(料金の実数)
  • 政府が注意喚起している理由と、農家にとっての具体的なリスク
  • 使ってよい作業と、避けたほうがいい作業の線引き

⏱ 先に結論

  • 文章づくりだけなら、使ってかまいません。直売所のPOP文案、SNS投稿、一般的な栽培知識の調べもの。
  • 経営に関わるデータは入れないでください。補助金の申請書、決算・売上の数字、従業員や取引先の個人情報。
  • 農家の使い方では「安さ」はほとんど決め手になりません。日報を毎日整えても、他社モデルとの差は月に数円(§2で試算)。差が出るのはPOPの量産のような大量処理だけ。だからこそ、選ぶ基準は料金ではなく「データがどこへ行くか」です。
  • 迷ったときの基準は1つ。「この文章を、知らない会社の人に見せても平気か」。

⚠️ 本記事は公開情報の整理です。編集部での実機検証はまだ行っていません(結果はVol.2でお伝えします)。

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🔍 1. DeepSeek V4 Flash 0731とは(3分で概要)

中国のDeepSeek社が2026年7月31日に公開した低価格帯の生成AIです。「0731」は7月31日版という意味の型番です。

興味深いのは、モデルの設計は7月まで提供されていた試験版とまったく同じで、学習をやり直しただけという点です。それでいて、プログラミングや自動作業の性能テストで試験版を上回ったと発表されています。「大きくすれば賢くなる」ではなく「教え方を変えたら賢くなった」という結果です。

項目 内容
正式名称 DeepSeek V4 Flash 0731
公開日 2026年7月31日
提供元 DeepSeek(中国)
料金(入力) 100万トークンあたり $0.14(キャッシュが効くと $0.0028)
料金(出力) 100万トークンあたり $0.28
一度に扱える文章量 約104万トークン
知能指数(第三者評価) Artificial Analysis Intelligence Index で 50(GPT-5.6 Lunaの最大推論設定は51)
扱えるもの 文字だけ。写真やPDFを直接読ませることはできません
📌 「トークン」って?

文章の長さの単位です。日本語ならおおむね1文字=1トークン前後。100万トークンは原稿用紙2,500枚ぶんと考えてください。それが約22円です。

※ベンチマークは特定条件下での評価です。実際の使い勝手は用途によって変わります。

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💰 2. 何がどれくらい安いのか(そして、農家にはあまり関係ない話)

まず単価から。比較対象は、OpenAIが2026年7月30日に8割値下げした低価格モデル「GPT-5.6 Luna」です。値下げ後でもなお、DeepSeekのほうが安くなっています。

DeepSeek V4 Flash 0731 GPT-5.6 Luna
入力100万トークン $0.14 $0.20
出力100万トークン $0.28 $1.20
入力30%安い/出力約77%安い

効いているのは出力の単価です。入力の差は3割ほどですが、出力は4分の1以下。つまりAIに長い文章を書かせるほど、差が広がります

使い方 DeepSeek Luna
長い資料を読ませて短く答えさせる(入力100万・出力5万) $0.154 $0.260 41%安い
ふつうの読み書き(入力100万・出力20万) $0.196 $0.440 55%安い
長文を書かせる(入力100万・出力100万) $0.420 $1.400 70%安い

「約6割安い」という数字を見かけたら、条件を確認してください。これは第三者評価機関Artificial Analysisが、ベンチマーク1問あたりの実コストを計算した結果です。総合スコアがDeepSeek 50・Luna(最大推論設定)51とほぼ並んだうえでの比較なので、評価としては妥当です。ただしどんな作業でも6割安くなるわけではありません。短い処理なら3〜4割、長い推論なら7割超と、幅があります。

で、農家が使うといくらになるのか

ここが大事です。農家の使い方に当てはめると、金額そのものが小さすぎて差になりません。1ドル=157円(2026年8月4日時点の実勢レート)として試算します。

使い方 DeepSeek Luna 差額
作業日報を1本整える 約0.04円 約0.13円 0.09円
日報を毎日30日分 約1.3円 約3.8円 約2.5円
公募要領30ページを要約(1回) 約0.7円 約1.4円 0.7円

月に数円

正直に申し上げて、この使い方なら料金でモデルを選ぶ意味はありません。差が出るのは、POPを100パターン一気に作るような大量処理のときだけです。

📌 だから、選ぶ基準が変わります

農家がDeepSeekを選ぶ理由は「安いから」ではありません。月に数円の差なら、選ぶ基準は料金ではなく「入れたデータがどこへ行くか」になります。次の§3が、この記事の本題です。

① ピーク時間の2倍料金が予告されています上記は現在の通常料金での試算です。DeepSeekは混雑時間帯(北京時間9〜12時・14〜18時)を通常の2倍にする方針を予告しています(2026年8月4日時点でも開始日は未発表)。2倍になると、Lunaとの差は1割程度まで縮まります。

② 為替で日本円の負担は変わります本記事の円換算は1ドル=157円での試算です。レートが動けば負担も動きます。

③ DeepSeek V4 Flashは文字だけ写真やPDFを直接読ませることはできません。画像を扱う作業では、そもそも比較になりません。

なお、DeepSeek V4 Flash 0731は旧モデルより評価全体で使った出力トークンが約12%少なく(約2億3,400万→約2億600万)、それでいて総合スコアは40から50へ上がりました。回答が毎回12%短くなるという意味ではなく、考える過程を含めた出力の効率が上がったということです。

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⚠️ 3. それでも「安いから使おう」と言えない理由

ここが本題です。

2025年2月6日、デジタル庁のデジタル社会推進会議幹事会は、各政府機関等に対して「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」を文書(事務連絡)で発出しました。原則として要機密情報は取り扱えないこと、機密情報を扱わない場合でもリスクを踏まえて利用可能な業務範囲をあらかじめ特定することを改めて徹底し、利用にあたっては内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とデジタル庁に助言を求めるよう求めています。

理由は、入力したデータがどこへ行くのかです。個人情報保護委員会は2025年2月3日付の情報提供で、DeepSeek社が取得した個人情報を含むデータは中国に所在するサーバーに保存され、中国の法令が適用されることを明らかにしています。さらに2025年2月にABCニュースが報じた調査では、DeepSeekのプログラムの中に、中国政府の管理下にあるサーバーへデータを送る機能が組み込まれている可能性が指摘されました(こちらは報道ベースの指摘です)。

また、セキュリティ企業Surfsharkの分析では、DeepSeekは世界でもっとも頻繁に利用制限の対象になっているAIチャットボットとされています。自治体や企業でも、業務端末からのアクセスを制限する動きがあります。

📝 農家にとって具体的に困るのは、こういう場面です
  • 補助金の申請書を「わかりやすく書き直して」と丸ごと貼り付ける
  • 決算書の数字を渡して「経営分析して」と頼む
  • 従業員の氏名や在留資格が入ったシフト表を整理させる
  • 取引先との契約書の文面を相談する

これらは、入力した時点で情報が外に出ます。

📌 問題の中身は「国」ではなく「行き先」

大事なのは「中国製だから危ない」ではありません。入れたデータがどこに保存され、誰が見られるのかがはっきりしない、というのが問題の中身です。逆にいえば、データの行き先をこちらで選べるなら、話は変わります。その方法はVol.2で扱います。

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✅ 4. 使ってよい作業・避ける作業の早見表

迷ったら、この表に戻ってきてください。

作業 判断 理由
直売所のPOP文案を考える ✅ 使える 外に出て困る情報がない
SNS投稿の下書き ✅ 使える 同上
一般的な栽培知識の調べもの ✅ 使える 公開情報の範囲
品種名・病害虫名の意味を調べる ✅ 使える 公開情報の範囲
外国語のやりとりの翻訳 ✅ 使える ただし個人名は伏せる
補助金・助成金の申請書の作成 ❌ 避ける 経営情報と事業計画が丸ごと入る
決算書・売上データの分析 ❌ 避ける 経営の中核情報
従業員・研修生の個人情報の整理 ❌ 避ける 第三者の情報。自分の判断で渡してよいものではない
取引先との契約書・見積の相談 ❌ 避ける 相手方の情報が含まれる
未公開の新品種・独自技術の相談 ❌ 避ける 競争力の源泉
💡 判断基準は1つだけ

「この文章を、知らない会社の人に見せても平気か」。平気ならOK、ためらうならやめる。それだけで大きく外しません。
そしてもう1つ、どうしても自分の状況を相談したいときは、農園名・人名・地名を「A農園」「Bさん」に置き換えてください。これだけで、漏れて困る度合いはかなり下がります。

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🚪 5. 実は、入口を選べばリスクの性質が変わります

最後に、Vol.2につながる大事な話をひとつ。DeepSeekには使い方の入口が3つあります。そして入口によってデータの行き先が変わります

DeepSeek V4 Flashの3つの入口とデータの行き先を示した図解
同じ「DeepSeek V4 Flash」でも、入口によってデータの行き先が変わります
入口 どう使う データの行き先
① 公式アプリ・ウェブ版 スマホアプリやブラウザで直接 中国のサーバー(懸念が指摘されている経路)
② 公式API 自分のシステムに組み込む 同上
第三者の窓口経由 OpenRouterなど海外の事業者が提供する窓口から同じモデルを使う その事業者のサーバー(中国を経由しない構成を選べる場合がある)

③がポイントです。DeepSeekのモデルは、DeepSeek社以外の事業者も自社のサーバーで動かして提供しています。同じ「DeepSeek V4 Flash」でも、経由する場所がまったく違うわけです。

🌾 農業に喩えると

同じトラクターでも、公道を走るのか自分の畑の中だけなのかで、気をつけることが変わりますよね。AIも同じで、「どのモデルか」より「どの入口から使うか」のほうが、注意すべきことを決めます。

⚠️ ただし、③にも確認すべきことがあります。「中国を経由しない」ことと「入力内容が保存されない」ことは別の話です。ここは編集部でまだ確認できていません。

📅 Vol.2 予告

この③を実際に設定して、作業日報の整理と長い資料の要約を試します。料金の実測値と、正直な出来ばえもお伝えします。

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まとめ

  • DeepSeek V4 Flash 0731は2026年7月31日公開の低価格AI。出力の単価はGPT-5.6 Lunaの4分の1以下で、長い文章を書かせるほど差が広がります
  • ただし農家の使い方では、他社との差は月に数円料金でモデルを選ぶ意味はほとんどありません
  • 日本政府(デジタル庁)は省庁等に業務利用のリスクを文書で注意喚起しており、データが中国のサーバーに保存され中国の法令が適用される点が根拠として示されています
  • 「中国製だから危ない」ではなく「データがどこへ行くか」が問題の中身です
  • POP・SNS・翻訳・一般的な調べものは使ってOK。補助金申請・決算データ・個人情報は入れない。迷ったら「知らない会社の人に見せても平気か」で判断してください
  • 入口を選べばリスクの性質は変わります。次回Vol.2で実際に設定して試します

安いAIが増えるほど、選ぶ基準は「値段」から「どこに預けるか」へ移っていきます。まずは、ご自身が絶対にAIへ入れないものを3つ決めることから始めてみてください。


📚 出典

今日からできる5分アクション

「AIに入れないもの3つ」を紙に書いて、パソコンの近くに貼ってください。

  1. 補助金・決算などのお金の書類
  2. 従業員・研修生・取引先の個人情報
  3. 未公開の新品種・独自技術

ルールは、覚えるより目に入る場所に置くほうが守れます。家族や従業員と共有できればなおよしです。

💬読者の声をお聞かせください

DeepSeekを使ってみた感想や、Vol.2で検証してほしいお題をお待ちしています。





📂 DeepSeek V4 Flash(全2回)

※ 本記事は2026年8月5日時点の公開情報をもとに作成しています(編集部での実機検証は未実施)。料金・提供条件・各国当局の見解は変動が早いため、ご利用前に必ず公式情報(DeepSeek API Docs、デジタル庁、個人情報保護委員会など)で最新の内容をご確認ください。円換算は1ドル=157円での試算です。

この記事は農家の皆さんのAI活用を応援するために作成しました。
ご質問やご感想があれば、ぜひお寄せください。

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農業関係者100人に「AIの使い道」を聞いたら、1位は栽培でも収穫でもなく「記録・文書・事務作業」(48人)でした。栽培管理・現場判断は12人。そこで作ったのが『AI日報スターターキット』です。しゃべるだけで日報が終わるコピペ用プロンプト3本+記録がたまるスプレッドシート雛形+100人調査ダイジェスト(全7ページ)を、メール登録で無料でお届けします。
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