【第1弾】農家のためのCloudflare入門 ~デジタル版ホームセンターの歩き方~

連載
農家のためのCloudflare超入門
Vol.1 / 全7回

考え方・判断★ 初級

農家のためのCloudflare入門

デジタル版ホームセンターの歩き方

#Cloudflare#農業DX#AIで作る

AIに頼んだら、アプリらしきものができた。動いた。うれしかった。——それは今、どこにありますか。

おそらく、あなたのパソコンの中です。電源を落とせば止まり、家族には見せられず、明日の作業記録は今日もノートに書いている。前回の『農家のためのClaude Code超入門』第3回は、まさにこの一文で終わりました。「作ったものは、まだあなたのパソコンの中にあります」。

この連載は、その続きです。作る力ではなく、出す力。埋めたいのは「試した」と「毎日動いている」のあいだにある溝です。そして今回は、その溝を渡るかどうかを読むだけで決められる回にします。コードは1行も出しません。

Vol.1第1幕:判断
売り場と値札と限界を、先に全部見る

今日のゴールは「作ること」ではなく、やる/やらない/どこまでやるを自分で決めることです。

🎯 この連載を走り切ったとき、農園に残るもの
屋号の名義で、月額ほぼ0円で動く小さな農園システム

屋号のドメインで開く1ページ(Vol.2)

info@屋号 に届く問い合わせ。受け取りは普段のGmail(Vol.3)

スマホから入れて、翌日も残っている作業日誌(Vol.4)

日誌に紐づいて行方不明にならない圃場写真(Vol.5)

いたずら対策つきの直売予約フォーム(Vol.6)

その予約一覧は、家族とスタッフだけが開ける(Vol.7)

かかるお金はドメイン代(年10ドル前後)だけ。それ以外は、各回で無料枠の条件を確認しながら進めます。
※料金は 2026-08-16 に公式で確認

🚪 作れるのに、なぜ出せないのか

作る力と出す力は、別の力です。AIは「動くもの」を書いてくれますが、それを24時間、誰かが開ける場所に置き続けるのは別の仕事です。ここには、農家にとって現実的な壁が3つあります。

  1. 置き場がない:手元のパソコンは、電源を切れば止まる
  2. 看板がない:屋号で検索しても、何も出てこない
  3. 月額が払えない:月数千円のSaaSを、自分1人のために買う判断はできない

この3つを同時に外せる場所として、この連載はCloudflareを選びました。ただし「便利だから」ではなく「値札と限界がはっきりしているから」です。順番に見ていきます。

🏪 Cloudflareは1つの製品ではなく「デジタル版ホームセンター」

Cloudflareを一言で説明するのは、実はできません。1つの製品ではなく、売り場がたくさん並んだ店だからです。いちばん近いのは、あなたが普段通っているホームセンターの、デジタル版。

🌾 農業の現場でたとえると

ホームセンターの棚を全部覚えている人はいません。
潅水チューブが破れた日に潅水コーナーへ行き、獣害が出た日に防獣コーナーへ行く。
Cloudflareも同じで、覚えるものではなく、困った日に取りに行くものです。入場は無料(無料枠)として色々と試せます。

これが全7回のマップです。
今日はこの表を眺めるだけでかまいません。以降の回では、その日に使う売り場だけを取り出します。

🗺 連載全体の一覧表(全7回でここに戻ります)
売り場(Cloudflare) 農場でいうと 登場する回
DNS 農場までの住所・案内板 Vol.2
Static Assets/Pages 直売所の看板 Vol.2
Email Routing 屋号あての郵便受け Vol.3
Workers 何でも屋の店員(番頭) Vol.4
D1 作業台帳・帳簿棚 Vol.4・6
R2 写真の預かり倉庫 Vol.5
Turnstile 入口の防犯ゲート Vol.6
Access(Zero Trust) 家族だけの合鍵 Vol.7
CDN/WAF 配送網・防獣柵 本文で随時

工具、倉庫、台帳、防犯設備、配送網まで、ひと通り揃っています。青くなっている行が次回さわる売り場です。

📷 農業でいちばん効くのは「写真の転送料が無料」

売り場の中で、農業用途に限って言えば頭ひとつ抜けているものがあります。写真の倉庫(R2)から写真を取り出すときの通信料が無料だという点です。

圃場の記録写真、選果の写真、牛舎のカメラ画像。農業は撮る枚数が多く、後から何度も見返す仕事です。多くのサービスは「預ける」のは安くても「外に出す」たびに課金されます。ここが無料であることは、他社との一番わかりやすい差です。

この差がいくらの話になるのかは、実際の枚数と転送量を並べてVol.5で計算します。今日は「倉庫から何度出してもタダ」という一言だけ持っていってください。

💰 費用を確認するポイントは2つ

無料枠の条件を全部覚える必要はありません。この連載で確認するポイントは2つです。

💰 費用を確認するポイントは2つ
年10ドル前後ドメイン代だけは、現金が出る

屋号の住所(ドメイン)は買うものです。この連載で唯一、財布を開くのはVol.2のここだけ。逆に言えば、年10ドル前後で連載を完走できます。

無料枠使う機能と利用量の上限は、その都度確認する

第7弾までに使う機能は無料枠で進められます。ただし無料枠には条件と上限があります。新しい機能を足すときは、管理画面の料金表示を確認し、支払いが必要なら作業前に止めて判断してください。メールの受け取り・転送は無料です(Vol.3)。

🚫 向かないもの4つを、先に言います

ホームセンターに何でもあるわけではないのと同じで、Cloudflareに置いてはいけないものがあります。あとで知ると時間を溶かすので、判断の前に出します。

🙋 正直に言っておくと
① 常駐するもの:Discord Botのように「ずっと立っている」仕事は向きません。番頭は呼ばれたときだけ来る働き方です
② 重い計算:動画の変換、AIの学習のように長く回し続ける処理は向きません
③ 手元の機械:農場内のパソコン、USBでつないだ機器、ローカルのプリンタは触れません
④ 既製品をそのまま:WordPressをそのまま載せる用途ではありません(前に置いて速くするのは別の話)
原則はひとつ。向かない1割のために、9割を諦めない。向かない部分は別の場所に逃がせます。
🔀 逃がし先も、同じ厚さで書きます
本線

看板・台帳・写真・予約・守りは、この連載のとおりCloudflareで組みます

別解

夜通し立っていてほしいものはRailway等へ。.jpドメインは国内の窓口で取ってDNSだけ預ける(Vol.2)。この判断は相棒(AI)に「これは常駐が必要な処理ですか」と聞けば答えが返ります

⚖️ 作る/買う/頼む の判断表

ここまでを1枚にします。全部を自分で作るのが正解ではありません。この連載自体、読者からの受付にはSaaS(Airtable)を買って使っています。理由も表の中に入れました。

やりたいこと おすすめの手 なぜ
農園の記録・写真・予約を貯める 作る 3か月後にAIへ渡せる材料になる。自分の名義で貯まることに意味がある
屋号の看板とメールを持つ 作る 年10ドル前後で、他人の看板を借りない状態になる
一過性の応募・アンケートを受ける 買う 貯める価値が低く、作る手間のほうが高い。この連載の受付もこれ
会計・給与・確定申告 買う 法改正への追従を自分で背負う話になる
売上を左右する本番の販売サイト 頼む 止まったときの損失が、自作で節約できる金額を超える
まず1回、自分の名義で出す体験をする 作る(Vol.2) 判断の精度は、一度出した人だけが上がる

迷ったら「それは3か月後の自分に材料として残るか」で切ってください。残るなら作る、残らないなら買う。

🗣 次回、相棒への頼み方(予告)

この連載に、コードは1行も出てきません。手順はすべて日本語で相棒(Claude CodeなどのAI)に頼む言い方で渡します。雰囲気だけ、先に1つ見せます。

Vol.2で使う頼み方(予告)
私は農家です。屋号は「〇〇農園」で、自分のドメインで1ページだけの紹介サイトを公開したいです。
ドメインはCloudflareで取得し、ページもCloudflareに置く前提で進めてください。次の条件でお願いします。
・専門用語が出たら、その場で一言だけ日本語で説明を添えてください
・私が管理画面で押すボタンと、その画面名を、順番に番号で示してください
・お金が発生する操作の直前では、必ず「ここから有料です」と止めてください
・作業が終わったら、公開できたことを確認する方法を教えてください

この形なら、コードを読める必要はありません。ボタンの場所と、止まる場所だけ決めて渡すのがコツです。

🧱 ここで詰まった

🧱 ここで詰まった(毎回1件書きます)
症状
「全部Cloudflareに寄せよう」として、常駐が必要な通知の仕組みを載せようとし、半日溶かした
原因
番頭(Workers)は呼ばれたときだけ来る働き方だと理解していなかった。ずっと立っている前提の設計を渡していた
どうしたか
常駐が必要な部分だけ別の場所へ逃がし、残りはCloudflareに置いた。以後、頼む前に「これは常駐が必要ですか」と相棒に必ず1回聞くようにした

☁️ コラム:サーバーレスは「サーバーが無い」ではない

💡
サーバーが無くなるのではなく、自分で持たなくなる

サーバーレスと聞くと「サーバーが要らない」と読めますが、サーバーはあります。自分で買って、置いて、面倒を見るのをやめるという意味です。

農機のシェアリングに近い。トラクタは存在するが、自分の車庫には置かない。使った分だけ払い、車検も整備も自分の仕事ではなくなる。だから初期費用がほぼゼロで始められ、使われなければ請求も小さい。この連載が無料枠で歩ける理由がここです。

💸 かかったお金

0円です。今日は判断だけの回で、何も買っていません。次回、はじめて財布を開きます——屋号のドメイン代、年10ドル前後。連載を通して、現金が出るのはここだけです。

✅ まとめ

Cloudflareは1つの製品ではなくデジタル版ホームセンター。全部覚えず、困った日に売り場へ行けばいい

農業でいちばん効くのは写真を取り出す通信料が無料なこと(Vol.5で計算します)

この全7回で実際に支払ったのはドメイン代(年10ドル前後)。無料枠の条件と上限は機能ごとに確認する

向かないもの4つ(常駐・重い計算・手元の機械・既製品そのまま)は先に切り、向かない1割のために9割を諦めない

次回Vol.2
屋号で検索して、何か出てきますか?

やると決めた人だけ、次へ。屋号のドメインを取って、自分の名義で開く1ページを公開します。この連載で唯一、お金が動く回です(年10ドル前後)。.jpを使いたい場合の分岐も、本線と同じ厚さで書きます。

公開予定:週2本(月・木)ペースで配信
⏱ 今日の5分アクション
  1. 屋号で検索してみる。何が出てきましたか。何も出てこないなら、それが次回の出発点です
  2. 使いたい屋号ドメインを紙に3つ書く。取れるかどうかは次回調べます
  3. いま困っていることを1つ選ぶ。日誌・写真・予約のどれですか。連載のどの回から効くかが決まります
  4. 余裕があれば、上の売り場対応表をスクリーンショットして保存。7回ぶん、ここに戻ってきます


📣 読んだ感想・質問をお寄せください

「ここが分からなかった」「うちの場合はどうか」——次回以降の内容に反映します。




ありがとうございます。送信しました。
送信できませんでした。時間をおいて、もう一度お試しください。

他人の看板を借りているあいだは、貯まったものも他人の場所にあります。屋号のドメインで1ページ出すことの意味は、見栄えではなく貯まり方です。記録と写真と判断が同じ場所に積み上がるから、3か月後にAIへ渡せる材料になる。

次回、その場所を年10ドル前後で手に入れます。

本記事に記載した料金・無料枠の条件は 2026-08-16 時点で公式ドキュメントを確認したものです。仕様・価格は変更される場合があるため、実際に申し込む前に必ず公式の最新情報をご確認ください。

農業AI通信 | 農家のためのCloudflare超入門 Vol.1 © 2026 Metagri研究所
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