【第4回】確定申告が「丸1日」から「30分」に! 動画×AIで変わる農家の事務作業

連載
🐄 酪農家・川上哲也のAI実践録

Vol.4

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実践
中級

確定申告が「丸1日」から「30分」に

〜 Geminiの広告動画がヒントに。伝票整理の革命的時短術 〜

「伝票を1枚ずつ確認して打ち込む作業で丸1日…」そんな農家の確定申告業務を、AIが劇的に変えた。島根県出雲市で酪農を営む川上牧場では、動画撮影とAIを組み合わせた独自の手法で、作業時間を20〜30分に短縮。

そのヒントは、意外にもGoogle社が配信する「Geminiの広告動画」だった。

Vol.4
今回のテーマ

📋 確定申告 × 動画読み込み・CSVインポート

従来「丸1日」かかっていた伝票整理が「20〜30分」に!動画撮影とAI、CSVインポートを組み合わせた革新的な時短術を公開します。

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川上哲也さん

川上牧場

代表
川上哲也 氏
所在地
島根県出雲市高松町
創業
1965年(昭和40年)
飼養規模
約80頭(ホルスタイン、ジャージー、黒毛和牛など)
資格
家畜人工授精師・受精卵移植師
役職
島根県牛群検定協議会会長、指導農業士
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📹 動画×AIのきっかけ|Gemini広告動画との出会い

川上さんが「動画でAIに読み込ませる」という発想に至ったきっかけは、意外にもGoogle社のCMでした。

動画で書類をAIに読み込ませるフローは、どう思いつきましたか?

川上さん

川上

Geminiの広告動画を見て「これだ!」と思いました。動画を撮影してAIに読み込ませれば、1年分の伝票も一気に処理できるんじゃないかと。

💡 川上さんがヒントを得たGeminiの広告動画

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📋 家畜人工授精記録の自動化フロー

川上さんが実践している、動画撮影からデータ化までの具体的な流れをご紹介します。

領収書を撮影している様子

📸 1年分の納品証を約1分半の動画で撮影

💡 領収書を動画で読み込み

🎬 動画×AI 実際のフロー

STEP 1
娘と一緒に1年分の納品証を動画撮影(約1分半)
STEP 2
Geminiに動画をアップロード
STEP 3
「購入日・種の名前・本数・性域・受精卵科をリスト化してください」と指示
STEP 4
出力されたリストを報告書に貼り付けて完成
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⏱️ 衝撃の時短効果|Before / After

Before
丸1〜2日
伝票を1枚ずつ確認・記入・打ち込み
After
20〜30分
動画撮影→AI処理→資料に貼り付け
従来はどのくらい時間がかかっていましたか?

川上さん

川上

伝票を1枚ずつ見て、記入して、打ち込んでいたので、丸1日はかかっていました。1月1日から12月31日までの1年分を毎年報告しないといけないので、本当に面倒だったんです。それが今は20〜30分で終わります
💡 ポイント
約48倍の時短効果!年に1度の面倒な作業が、コーヒー1杯分の時間で完了するようになりました。
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🎯 AIの認識精度|どこまで正確?

AIの認識精度はいかがですか?

川上さん

川上

日付はほとんど正解ですね。ただ、手書きの伝票は多少ズレることがあります。印刷された伝票はほぼ完璧です。

黒毛和牛の名前は似た名前が多いので(福之姫と福之鶴など)、一部確認が必要ですが、大幅な時短になっています。

✅ 認識精度まとめ

項目 精度 備考
印刷された伝票 ◎ ほぼ完璧 そのまま使用可能
手書きの伝票 ○ 多少ズレあり 軽い確認が必要
日付 ◎ ほぼ正確 ほとんど正解
黒毛和牛の名前 △ 要確認 類似名が多い(福之姫/福之鶴など)
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📊 会計仕訳の自動化|CSVインポート活用

川上さんは、確定申告の仕訳作業にもAIを活用しています。

CSVデータで勘定をインポートする具体的な手順を教えてください。

川上さん

川上

会計ソフトのソリマチを使っています。前年度の仕訳データをCSVで出力して、それをGeminiに読み込ませます。「去年はこう仕訳しました。今年のデータも同じように仕訳してください」と指示すれば、やってくれます。

ソリマチの仕訳データ受け入れ画面

📸 ソリマチの「仕訳データを受け入れ」機能でCSVをインポート

📁 CSVインポートのフロー

STEP 1
ソリマチから前年度の仕訳データをCSV出力
STEP 2
Geminiに前年度データを読み込ませる
STEP 3
今年のデータを読み込ませ、同じルールで仕訳を指示
STEP 4
AIが作成したCSVをソリマチにインポート
STEP 5
記帳完了

💡

ポイント

勘定科目のマスターではなく、去年の実績を読み込ませることで、個人ごとに異なる仕訳ルール(雑品に入れる、材料品に入れるなど)も踏襲できます。

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🤝 税理士との連携

税理士さんとの連携はどうされていますか?

川上さん

川上

青色申告会からJAの通帳での入出金データをもらっています。そのデータはJA島根出雲地区本部側で既に仕訳されているので、そのルールに沿って処理すれば大きなズレは出ません。

確定申告自体は税理士に特段依頼していません。補助金関連の確認だけですね。

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🚀 今後の展望|Vibe Codingでさらなる自動化へ

今後、さらに自動化したい部分はありますか?

川上さん

川上

応用編として、Vibe Codingを使ってJAのCSVを読み込んで自動化する仕組みを検討しています。JAからのデータを入れるだけで、自動的に仕訳データに変換される。そうすればソリマチも不要になるかもしれません。

ただ、消費税率変更などイレギュラーな対応やバグ発生時のリスクはありますね。年間12,000円のソリマチを代替するほどのコスト効果があるかは微妙ですが、自動化してみるのは面白そうという感覚でチャレンジしています。

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🧬 チャレンジ中の取り組み|近交係数プロジェクト

AI活用は常に成功するわけではありません。川上さんの挑戦中のプロジェクトをご紹介します。

AI活用で「うまくいかなかった」経験はありますか?

川上さん

川上

黒毛和牛の近交係数の算出をVibe Codingでチャレンジしました。GeminiのGemを活用して専用サイトをコーディングしていたんですが、精度が悪くて実現できずでした。

PDFの祖父母情報は文字が小さく、認識が難しい。当初はAntigravityがない状態だったので、今はもう少しできそうな予感があります。

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近交係数とは?

近交係数が高いと子牛に病気が出やすくなったり、肉の質が落ちる。農家にとって近交係数を下げることが重要な目標。
既存の有料サービス: 1頭あたり数百円で利用可能

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📝 Vol.4 まとめ

今回のポイント

  • 動画×AIのアイデアはGeminiの広告動画がヒント
  • 作業時間: 丸1日 → 20〜30分に大幅短縮
  • CSVインポートで前年度の仕訳ルールを踏襲
  • 税理士不要、JA島根のルールに準拠で十分
  • 失敗談: 近交係数計算は精度の壁
  • 今後: Vibe Codingでさらなる自動化に挑戦
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📺 次回予告
第5回

研修生教育のAIマニュアル化

動画からマニュアルを自動生成!YouTubeとの連携、多言語対応、研修生との共同制作まで。

次回 近日公開予定

📂 『酪農家・川上哲也のAI実践録』記事一覧
  • Vol.1
    AI活用を始めたきっかけと最初の一歩
    公開中
  • Vol.2
    補助金申請書類 × NotebookLM
    公開中
  • Vol.3
    ChatGPT vs Gemini|現場で使えるAIツールの選び方
    公開中
  • Vol.4
    確定申告 × 動画読み込み・CSVインポート
    今回
  • Vol.5
    研修生教育のAIマニュアル化
    近日公開
  • Vol.6
    これからのAI活用と農家へのメッセージ
    近日公開
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